第15話 SHOW TIME!

 ポグレンが合図を出すと、唯一灯っていたロウソクが吹き消され、暗闇がより確かなものになった。

 一瞬だけ、見守る人々の唾を飲み込む音が聞こえてきそうなほどの静寂が訪れる。その静寂を打ち破ったのは、トーチの燃える音だった。ポグレンが懐から取り出した種火でトーチに火をつけたのだった。

 ポグレンは左手のトーチに点いた火を右手のトーチにも移す。その二つの火がディストールたちの持ったトーチにも移され、暗闇だった食堂内はあっという間に再び明るくなった。


 最初はただ単純に、手首を回してトーチをグルグル回すだけのシンプルな技だ。だが、それだけでも見物人にとっては見応えのあるもののようだった。

 いつもはポグレン一人で行っているこのウォーミングアップも、今日は5人10本のトーチで行っているのだ。今までとは違う迫力に見物人たちは驚いているようだった。そしてこの単純な技を、5人はあえて長めに行っていた。


(……おっさん大丈夫かな?)


 ディストールは、チラッと横目で隣のバリシナンテスの方を見た。四苦八苦しながらクソ真面目な顔をしてトーチを回している彼を見ると、思わずディストールは吹き出しそうになったが、ここはグッと堪えた。


 実は昨日の深夜、まだノマールの森のテントにいる時、ディストールたちはこのトーチをひたすら回す技を、ポグレンから教えられていた。城内の人々にインパクトを残すには、芸に参加する人数は多いに越したことはない!という彼からの進言を受けてのことだ。


 この単純な技をずっと行っているだけでも、ポグレンの行う派手な技の伴奏のような役割を果たすだろう、というわけでディストールたち4人もトーチを回す練習を必死に行ったのだった。

 ディストール、クラムート、ナシェーリの3人は飲み込みも早く器用なタイプで、さして練習もせずに火の点いたトーチをグルグル回すことに成功したのだが、バリシナンテスは元々不器用なタイプらしく、トーチに火が点いた途端回転が乱れていたのだった。


 練習を重ねる度にスムーズにはなっていったが、失敗の許されない敵方の人間の前での本番となれば、緊張からミスを犯しはしないかとディストールは心配していた。だが続けてゆくうちにバリシナンテスの表情も安定してきた。まあ特にこれ以上難しい技を行うわけではないので、とりあえず一安心と見て良いだろう。


 ひたすらトーチをグルグル回すだけの技が、既に3分近く続いていたが、見物人は特に退屈した様子もなく見入っていた。単純な技をこれだけ長く続けたのには理由がある。まずは純粋に芸を披露する側のウォーミングアップという部分もある。だがこれとは別に見物人を陶酔させる、という狙いもあった。


 暗闇の中で火の点いたトーチがグルグル回る、という現象はまさに非日常的なものだ。この非日常的な部分こそが、見物人にとって心地よく、また見たい!と思わせる要因だ。ノマール城内の人々はポグレンの芸をまた見たい!と思っていたわけだから、大げさに言えばすでにポグレンの芸の虜となっていた、とも言える。今回はさらに大きな狙いがあり、見物人をより深く陶酔させることが望ましい。そのために焦らすくらい時間をたっぷりと取った、というわけだ。


 さらにタネを明かすとすればトーチをずっとグルグル回しているように見せて、単純にずっと同じやり方でやっていたわけではないのだ。トーチの回す角度を微妙に変え、そして速度もゆっくりとしたスピードからだんだんと……見物人の誰もが気付かないほど徐々に……上げていったのだった。こういった細かい工夫をして、単純な技だけで見物人の目を引き付け、軽い催眠状態にまで持ち込むことに成功していた。すべては綿密な作戦があってのことだ。


 そこからはポグレンが様々な技を披露してゆく独壇場となった。


 トーチ空中に放り投げてキャッチするというものから、トーチを3本、4本使ったジャグリング、さらには体操選手顔負けのアクロバティックなものまで、その技は実に豊富だった。


 そしてこの頃になると、火薬の調節によりトーチの色彩にも変化が生じていった。最初の普通の炎の色がゆっくりと青みがかってゆき、さらに青から紫を経て再び鮮やかなピンクがかった赤へと変化していった。その変化も最初はゆっくりしたものだったが、全部で4周変化する内にだんだんとその周期を早めていった。そして最後、ポグレンが空中にトーチを放り投げている間に側転をする、というキメ技の頃には、白く変化し一際強い光を放っていた。


 高く放り投げたトーチをポグレンが見事キャッチすると、見物人からは大きな拍手が送られた。ここで、ポグレン一人の場合は終了なのだろうが、今回はここからが本番だ。

 ポグレンの芸は見事なものだったが、城内の見物人はある程度見慣れているはずだ。彼らに大きな驚きを与えなければ、こちらの目的は果たせるはずもない。


 というわけで、ここからは風使いを中心とした芸を見せる場になっていった。まず行ったのは白く発光している10本のトーチを一直線に並べ、一瞬の突風で一気に吹き消す、という技だった。これはバリシナンテスが行った。


 これくらいのことは、日頃から風を操ることに鍛錬を重ねている彼らならば造作のないことではあったが、あまり強い風を起こしてしまうことは避けたかった。見物人には「なぜか炎が一瞬で消えた!」と思わせたいのだ。広範囲に風を撒き散らしてしまっては、彼らが風使いであることに気付く見物人が出てこないとも限らない。あくまで細く小さく……だが確実にトーチの炎を吹き消すには鋭く風を操らねばならなかった。豪快だが、繊細な操作能力には若干の不安が残るバリシナンテスではあったが、一発でこれを成功させた。もちろん一発で成功させなければ、興醒めもいいとこだっただろう。


 こうして食堂内は再び暗闇に包まれた。暗闇と静寂が10秒ほど支配した後、そこには3つの青白い人魂が登場した。人魂はゆっくりと漂いながら、互いに交錯したり、同じ場所をクルクルと回ったりと様々な仕方で浮遊していた。


 ポグレンのトーチトワリングには見慣れていた見物人たちだったが、想像だにしなかった状況に息を呑んでその様を見つめていた。やがてその驚きが少し収まると、ざわざわと感嘆の小さな声を隣の見物人と交換が始まった。だが、浮遊する人魂が自分の近くを通ると、小さな悲鳴を漏らす下女もいた。さらに、青白かった人魂が赤、黄色、緑……と様々に色を変え、さらに浮遊していたそれが、浮遊とは呼べないほどの猛スピードで食堂内をグルグルと旋回し始めると、見物人たちは完全に声を失った。


 言うまでもなく人魂……のようなものは、ポグレンの火薬と『火の布』とを用い、それを風使いたちが操作しているという、急ごしらえの芸であった。燃えていてもほとんど損傷のない『火の布』に油を染み込ませて燃料とし、東方の国でよく使用されるという、火薬の順番と分量を綿密に計算して調節することで、こうした演出を図ったのである。


 この人魂のような炎の芸は5分間ほどであった。風使いたちにとって人魂を浮遊させておくことはそこまで繊細な操作が求められるものではなかったが、5分間ずっと操作し続けるのは持久力的にかなり辛い作業である。それで、操作する人魂を4人に対して3つにして交代しながら操作していたのであった。


 見物人たちも目の前を浮遊する火の玉が、芸であることを頭では分かっているのだが、あまりに非日常的なその光景に、どうしても幽霊や霊魂といったものに想像を結びつけてしまい恐怖を感じるようになっていた。


 


 目まぐるしく人魂がグルグルと旋回している中、不意にガーン!!という大きな音に脳天を貫かれ、見物人は度肝を抜かれた。暗闇の中での人魂の複雑な動きや、目まぐるしく変化する色彩によって陶酔効果が強く出ていたことも当然それに影響していた。


 そして次に聞こえてきたのは野太い男の大音声だった。 


「聴けぇぇい!ノマールの衆たちよ!!」


(……あ~もう、おっさんうるさ過ぎ!そこまで大声張る必要もないだろ!上の階にいる奥方にバレたらどうすんだよ!)


 さして広くもない食堂内はバリシナンテスの大声で満たされ、ディストールは食器だとかグラスが割れはしないかと心配になったほどであった。


「我々はベルカントに協力する異能力者である!この城は我々が貰い受けることにした!……ノマールの方々には大人しく我々に従うことをおすすめする。さもなくば命の保障は出来かねるぞ!!」


 バリシナンテスはディストールの入れ知恵通り、『風使い』という具体的な能力を説明する言葉を避け、『異能力者』というやや抽象的な言葉を使った。「今の芸で用いた能力が、保有している能力の内のほんの一部かもしれない」……という想像を城内の人間にさせるのが狙いである。


 実際そのように想像した城側の人間も多かった。不意を突き暗闇の中で催眠効果まで用いた上でのこの大音声だったのだから、守備側のほとんどの人間は冷静な判断など出来ずただただ驚いて恐怖していた。


 ちなみに『風使い』というのは『異能力者』の中では割とポピュラーな方である。他の『異能力』の代表的なものは『火使い』『水使い』『光使い』といったところだろうか。彼らの多くはディストールたちと同じように、代々受け継がれてきた能力を用い、各国の君主に金銭で雇われて協力する……という傭兵集団のような徒党を組んでいるものたちが多かった。もちろん彼らの存在の仕方は多様ではあったが、『異能力者』は正規の騎士にはなれない、というのはどこの地でも常識であった。


(さて……あちらさんは、どう出るかな?)


 バリシナンテスの脅迫の言葉に対する、城側の返事はまだされておらず、沈黙が続いていた。

 城側の兵士たちも使用人たちも、目の前に現れた人間が旅芸人の一座ではなく敵方の『異能力者』だということに驚き、バリシナンテスの脅迫に恐怖を感じてはいるようだった。だがそれでも、誰も騒ぎ出すことも暴れもせず味方の守備隊長の方を見ていた。


(へー、この状況でも統制が乱れない、ってのは相当この守備隊長は信頼されてるのかもな。『徹底抗戦だ!』とでも号令を出されたら……ヤバイのはこっちの方かもな)


 ざっと見た感じ敵方の20人の内、兵士は10人ほどで残りは使用人たちだから非戦闘員だろう。ただ、こちら側もポグレンは非戦闘員と言って良いし、他の4人も距離の近いこの場所でまともな白兵戦になってしまえば、純粋な戦闘能力は並の兵士と何ら変わらない。


(ま、ヤバくなったら逃げるが勝ちよな……)


 依然として暗闇が続いているこの状況を利用すれば、ポグレンを連れてでも脱出は可能だろう。入城の際に脱出経路も確認済みだ。……まあ本当に万が一の場合にはポグレンを置いて行く、という選択肢もある。彼なら城内の人間に捕まっても、「風使いたちに脅されて仕方なく協力した」と言えば、「二度とこの地に来るな!」とはなるだろうが、命までは取られなさそうな気がする。


 


(……は~、これはまた厄介な手合いを引き込んでしまったな。……さてどうすべきか?)


 守備隊長プラハムは意外なほど冷静であった。別に彼はこうした事態を想定していたわけではなかったが、単純に元々の性分として冷静であった。


「……ポグレン。君はまさか、最初からこうした意図があってアレフに接触してきたのか?」


「……え?いや、そういうわけでは…………」


 バリシナンテスの大げさな脅迫を黙殺する形で話しかけられるとは思っていなかったので、ポグレンは動揺したし、風使いたちの誰もが出鼻を挫かれた感じがした。


「ポグレンさんとは街でたまたま出会って、無理矢理協力してもらったんだよ!それよりアンタ守備隊長なんだろ?この場でどうするか決めてもらおうか!?今すぐにだ!……妙な真似をすればアンタらだけじゃなく、奥方の命もないと思えよ」


(……ん?あっちの髭もじゃの大男じゃなくて、こんな年端も行かぬ少年がコイツらのリーダーなのか?)


 守備隊長プラハムは、ポグレンを庇い決断を迫ってきたディストールと向き合った。


(……たしかコイツら『異能力者』と名乗ったな。俺は実際に目にしたことはなかったが、各地に普通ではない能力を持った者たちがいて、傭兵集団を形成しているという話はよく耳にする。……すると先程の曲芸もその能力を用いたものだったのか?……まあそう考えるのが自然だろうな)


「少年。君がリーダーか?」


「そうだ」


「本当にこの状況で君らに勝算があると踏んでいるのか?……ポグレン君が戦闘に加わらないと考えるとそっちは4人。しかも見たところ3人は少年と少女ではないか?……対するこちらの戦力は兵士だけで10人。特別屈強な精鋭揃い……というわけではないが、見たところ君らよりは体格的にも大きいし強そうだが」


「……プラハムさんよぉ。さっきこっちのおっさんが言ったことはもう忘れちまったのかい?俺たちは『異能力者』なんだぜ。……言っとくけどさっきまで見せてた手品なんか目じゃないぜ?」


 そう言うとディストールは暗闇の中、声だけでニヤリと笑った。


(……そうなんだよな。コイツらがどんな能力を持っているか分からないし、この状況がすでにコイツらによって作り出されたものだ。こちらの兵士は皆、得体の知れない『異能力者』と戦うだけの気持ちが残っているのか?……難しいだろうな)


 プラハム自身がこの状況で、剣を抜いて戦おう!という気にはなれなかった。

 意識的に一息吐き、暗闇の中ではあるが味方の守備兵たちと侵入者である少年少女たちとの顔を見比べてみた。

 守備兵たちの冷静さを必死に取り戻そうとしている表情が見て取れた。一方の侵入者たちの表情には緊張と野望の色が見て取れた。


(……ふ、表情を見て取ったところで、形勢の判断は分からぬわ。……結局のところ自分で判断するしかないということだ)


 しばらく逡巡した後、プラハムはふっと笑い腰の剣を床に放り投げた。


「た、隊長!?」「プラハムさん!?どういうことですか!?」


 悲鳴のような声を上げて、ノマール城内の人間はプラハムに問いかけた。


「どうもこうもない。この者たちの要求を呑む、ということだ」


 


(……おっと、マジか!?あっさり俺たちの要求を呑む、って本当か?呑んだふりして俺たちが油断した隙を狙ってくるんだろ?)


 こちらが脅迫のように出した要望だったとは言え、それにあまりにあっさりと応じた守備隊長プラハムを、ディストールはすぐには信じる気になれなかった。


「どうした少年?君がリーダーなんだろ?……俺は君らの要求を呑む、と言ったんだ」


 プラハムはディストールににやりと笑いかけ、ディストールはそれにビビッて明らかに腰が引けていた。どっちの立場が有利なものなのか、まるで分からなくなりそうな光景だった。


「……あまりにスッキリとこちらの要望が通っちまったもんだからな。いささか面食らっている状況だよ」


「正直だな、少年」


 そこでプラハムは言葉を切り、ディストールに笑いかけた。その顔は他意のない、素直に感心したというような笑みに見えた。


「なーに、俺も本音を言えばこの戦、エゾナレスに勝算があるとは思えないのさ」


「隊長!?」


「ほ~う?隊長さん、あんた見る目があるんじゃないの?」


 ディストールはやや得意気な表情で、プラハムを見た。ただもちろんその言葉のすべてを信じたわけではなく、真意がどこにあるのかは掴みかねていた。

 ディストールの表情が言葉とは裏腹に、自分を信用したものではないことを見て取ると、プラハムは苦笑しつつ本音を語り始めた。


「……俺は、当主である兄イプロンスとは元々意見が違い、この戦はベルカントが勝利する、と踏んでいたのさ。王であるポンテ卿とパスチノッソスのジジイとの人間的な差……っていうのが一番大きいと思っていてな。ポンテ卿は先進的で人の意見も良く取り入れる、って評判だが、パスチノッソスは意固地で典型的な老害だ。……それに国の規模としてもすでに差がある。小細工をして少しの間エゾナレスが勝利を収めることもあるかもしれんが、最終的にはベルカントが勝利を収めることは間違いないだろう、というのが俺の見解だ」


「へ~、ずいぶんとベルカント贔屓な見方じゃないかよ。でも、ガッサンディアが寝返ったんだぜ?それでもベルカントが勝つって言い切れるのかい?」


「……ちょっとディス!別にこっちの味方になってくれるって言ってる人にわざわざ不利な情報を与えなくても!」


 後ろからナシェーリが止めようとしたがすでに遅かった。だが、ディストールとナシェーリのやり取りを見たプラハムは、微笑ましく思ったようだった。


「な〜に、お嬢ちゃん。君らのリーダーは、俺という人間を見定めようとしているのさ。まあ当然だとは思うぜ。……どこまで信用してくれるかは分からないが、俺は本音だぜ?ガッサンディアがエゾナレスに寝返った!って言っても俺は信用しちゃあいないね。既に決戦が始まろうとしているこの状況下で、ガッサンディアは戦場に兵を送れていないじゃないか?詳しい思惑までは分からないが、本気でベルカントを潰そうとまでは思っていないんじゃないか?」


 神妙な顔をしてプラハムの話に耳を傾けていた5人に、プラハムは言葉を続けた。


「兄イプロンスは律儀な人間で、ノマール家が昔受けたエゾナレスからの恩を今も感じているようで、裏切るなんてことは考えもしない人間さ。……まあ兄はそうした人柄のお陰で家中の人望も厚いわけだから、それに弟の俺が表立って異を唱えるわけにはいかないわけだ。だがこうして『異能力者』に侵入され、脅されたのだから、城の者、特に兄の夫人の身を守るためには仕方ない!ということさ」


「……プラハムさん!それではあなたが責任を問われるのではないですか!?」


 ポグレンがやや悲痛な声でプラハムに尋ねた。多少なりとも付き合いのある彼の、今後の家中での立場を心配したのだろう。


「……別にそんなことは何でもないさ、ポグレン君。ノマールの家が存続していくこと以外は俺にとっては小さなことさ。……それに俺はベルカントが勝利すると思っている。今後ノマール家がベルカントに従う、ということになればいち早くそれに協力しておくことこそが、ノマール家の評判を高めることに他ならないだろう?」


 プラハムの飾らない言葉の奥には、自家を思う強い心があることを感じ、風使いたちやポグレンだけでなく、城内の人間たちも改めて感銘を受けたようだった。


「じゃあ俺たちに協力してくれる、ってことで良いわけだな!?」


 色めきたったディストールの言葉に、プラハムは小さく首を振った。


「焦るなよ、少年。……勝算はあるのか?はっきりとした勝算がないのならば、ベルカントに寝返るのはノマール家にとって時期尚早だったということになる。その辺をはっきりさせなくてはならない」


 プラハムの顔は冷静だが、厳しいものに戻っていた。


「……そうだな。最終的にベルカントに勝算がある、ということではプラハム守備隊長殿も同意見のようだが、ノマールの家にとって大事なのはこの一戦だもんな。……まあ俺がとくと説明して差し上げますよ。皆さん、いつまでも突っ立ってないで、座ったらどうですか?あ、おっさん!灯りも点けてくれよ!」


 ディストールはそう言うと、騒ぎの中で倒れていた椅子を立て直し、自ら腰掛けた。


 それを見て呆然としていた城内の人間たちも、正気を取り戻したのか、各々椅子を持ってきては腰掛けた。







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