(四)

 紀子はいずみを見た。いずみは壁に体を打ち付けられてぐったりしていた。口からは血が流れていた。目は見開いたまま中空を凝視したままであった。そして広く開いた衣装の胸のところから廃材の金属の棒状の何かが突き立っていた。布地のところなら物理的に強化された素材で組み上げられており、この星で使われる個体携行の武器であればほとんど防げる強度を持つはずであった。しかし偶然にも、背中のその布地のないところから棒が突き刺さり、いずみの右胸を貫いたものと紀子は推測した。つまり、いずみは死んだのだ。


(続く)

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