(三)‐7

 いずみは非現実的な光景を目の当たりにしながら事態を見守ることしかできなかった。何が起きているのか頭が混乱していた。

「あんたのその武器、危険だからダメ!」

 甲高い声とともに金色の腕が一本伸びてきていずみを横になぎ払った。いずみは横向きに飛んでいき、工場の壁まで吹き飛ばされ大きな音を立てた。

 紀子が「いずみ!」と声を上げ、スカートのポケットに手を突っ込み、カードのボタンを押した。同時にいずみの方へ駆け寄った。紀子の体が光に包まれた。制服がライダースーツのような格好に変わっていった。右胸にはさっきいずみに見せたカードの文様が描かれていた。

 紀子は二人の異形から放たれ伸びてくる触手をかわしていった。新たな衣装の色が濃くなり光が薄れてくると、紀子の足も素早くなった。

 歌子の「させるか!」というかけ声とともに紀子に向かって放たれた触手を、紀子はまるでワープしたかのように姿を一瞬で消し、次の瞬間にはいずみのそばに現れた。


(続く)

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