(三)‐6
「自警団ということは、私以外にもいるの?」
「いないわ。あなた一人よ」
紀子がきっぱりそう答えると、「話は終わったか」と六つ足の化け物に変身した椿が二人の会話を遮った。
二人が異形の三人の方を見た。すると三人はそれぞれもともと腕であった手を伸ばし、紀子を捕まえようとした。紀子はとっさに横へ避けた。
三人の四本の腕はそれぞれ別々に左右に動き、紀子を捕らえようと、またはひっぱたこうとしていた。そのたびに紀子はひらりひらりとかわしていった。
(続く)
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