決戦
第23話 越境
正教会歴1315年10月17日
ヴァルド帝国はクランダ連邦との国境沿いに鬼神を集結し始めた。
鬼神の数は157機。
ヴァルド帝国の鬼神の全機と言っていいだろう。
それに対し、クランダ連邦の鬼神は国境配備が30機
すぐに、中央司令部へと伝令を飛ばした。
その返事が来る前にヴァルド帝国は国境を越えてクランダの国境守備隊と交戦状態になる。
国境守備隊はほとんどが旧式のZ-5であり、ヴァルド帝国の新型機を前になすすべもなく撃破されていく。
国境守備隊は半数が撃破されたところで迎撃を諦め、
ヴァルド帝国は無理に追うこともせず、国境沿いの都市を1つずつ占領していく。
この地域は大規模な農地となっており、秋は収穫を迎えている。
帝国は、支配に置いた都市の男は奴隷として帝国本国へ送り、女性は兵士たちの性欲を満たすための玩具にした。
至る所で、公然とレイプが横行していた。
10代の少女などは、それを苦に集団自殺するものまで現れている。
その情報が流れた時、クランダ連邦は当然だが、スール王国のヒナ王女がまず立ち上がった。
帝国は許せない。
どこよりも先に、スール王国の首都トレッカへ愛機のP-3Tと、30機のZ-10を引き連れて現れた。
ウルフは、首都に集結しつつある自軍の指揮を執りながら、ヒナ王女に深く感謝をする。
「帝国兵は一兵たりとも逃がしません」ヒナの決意も相当なものであった。
クランダ連邦は現状の全戦力60機がトレッカへと集結した。
この時点で、帝国側157機に対し連合国側91機
帝国側もトレッカ近郊まで押し寄せてきているようだ。
イシュル王国とダナン公国からもクランダ連邦に援軍が向かっていた。
しかし、帝国は集結するのを待っていてはくれない。
トレッカへと攻撃を始める。
旧式のN-2と新型N-7の混成部隊がトレッカに集結していた連合国軍に襲い掛かる。
帝国のN-7や連合国のZ-10、D-1Tにとっては初めての実戦となる。
それらの新型は1対1の戦いではほとんど互角の性能を見せていた。
ただ、数の上で帝国が連合国側を圧倒していた。
最初はクランダの旧式のZ-5から削られ、その後新型のZ-10やD-1Tも破壊されるようになる。
ウルフのE-1Tにはヴァルド帝国のA-1が、ヒナ王女のP-3Tには前回の戦いで全く歯が立たなかったL-5が4機立ち向かって来た。
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