第21話 スール王国の新型機


 連合国各国で新型機開発競争が活発になると、鉄の産地であるスール王国は益々収入が増え、潤っていた。


 反攻作戦から帰国したヒナ王女は、帰国当初は落ち込んでいたが、かなり気持ちも落ち着いてきたらしい。


 投入したZ-5は全て失われたのだから、鬼神の配備も1からやり直しとなった。


 量産機については、イシュル王国からZ-10を30機ほど購入することで決まった。


 ヒナ王女の専用機については、カスタム機に定評のあるダナン公国に注文した。


 ダナンP-3にターボ改修を施した、ダナンP-3Tが1ヶ月ほどで納品される。



 ヒナ王女は、鬼神に乗るのが怖かった。


 鬼神に乗れば、引きずりだされて、また、同じように辱めを受けるのではないか、そんな心配だった。


 それに、ヒナをかばって、多くの少年少女が命を落とした。


 その責任も負わなければならない。


 国民は、ヒナの身に起こった悲劇を知ってか、今までより、さらに敬愛の念を強く持っているようだ。


 そんな、ひどい目にあっても、なお国のために指揮を執り、鬼神に乗る姫。


 国民の忠誠は大変なものでった。



 同情なぞ・・・。


 P-3Tに乗りながら、いつも涙を流していた。


 一か月した頃、技術士官が騒ぎ始めた。


 ヒナ王女の相性値が1.2を超えているというのだ。


 ヒナ王女は適正73、現在の相性値が1.21、魔法石2(ターボ3.4)であるから総合能力303となっていた。


 P-3Tのパラメーター配分がパワー0.9:スピード1.4:耐久力1.2であるから


パワー 77.91

スピード 121.2

耐久力 103.9


 となる。


 ヒナ王女やスール王国が考えていた以上の能力になっている。


 それまで、後ろ向きだったヒナ王女はP-3Tに乗っていると、少し前向きになれた。


 P-3Tなら、自分も、この国も、騎士団も護れる。


 そう思っていた。

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