第20話 クランダ連邦・ダナン公国の共同開発


 クランダ連邦とダナン公国は鬼神の共同開発となった。


 帝国の新型の情報が入ってくる中、どうやって現状の鬼神のパワーアップを目指すかというのが課題であった。


 色々な案が出される中で、最終的に採用されたのがターボチャージャーの導入である。


魔法石は大気中にあるマナという魔力の素に反応して魔法力を生み出し、鬼神の動力源としている。


そこで、魔法石へ取り込むマナの総量を大幅に増やし、常に高稼働状態にする。それがターボチャージャーだった。


ターボの導入により、魔法石に+0.7のボーナスが得られた。


 新型機クランダD-1Tはパイロットの適正が50、相性値が0.5である場合、魔法石1(1.7ターボ付き)であるから、総合能力の上限が42.5までになる。


 なお、ターボの上限は2.5程度までは上がるようだが、あまり高出力にしてしまうと暴走してしまう可能性があり、通常1.7程度が限界とされた。


 パラメーター配分はパワー1:スピード1:耐久力1とされた。


 先ほどのパイロットの例だと。


パワー 14.16

スピード 14.16

耐久力 14.16


 となる。


 ナーラ将軍ことウルフのカスタム機、クランダE-1Tもこのターボーチャージャーの原理が採用されている。


 ナーラの適正が85、相性値が0.7、魔法石2(3.4ターボ付き)であるから、総合能力は202.3である。


 それをパワー1.5:スピード0.7:耐久力1.1で振り分けている。


パワー 91.95

スピード 42.9

耐久力 67.43


 となる。


 ウルフは自身のE-1Tがロールアウトされると、すぐにP-4との模擬戦を申し込んだ。


 ウルフは反抗作戦で多くの仲間が犠牲になっていくのを、見ているしかない悔しい思いをして、次の戦いでは帝国機を100機でも撃破するつもりだった。


 ウルフの機体はターボラグが発生するものの、今まで、ラスタが戦ってきたどの機体よりもいい動きをしていた。


 ウルフのE-1Tは大剣を装備している。


 その大剣の攻撃をP-4の剣で受け止めるが、重い。


 E-1Tは魔法繊維の色からカーキ色をしていた。


 なめらかに動き、そして、パワーが他の機体に比べて段違いだ。


 ラスタのP-4はやや押される。


 P-4は


パワー 169

スピード 169

耐久力 169


 であり、現行、連合国側のどの機体よりもスペックが高い。


 それでも、ウルフに押される。


 お互いに決定打を見いだせないまま、模擬戦は終わった。


 「ラスタ君、いい勝負ができたよ、ありがとう」


 「ナーラ将軍」


 「P-4もターボ改修をしたらどうなんだ?」


 「ターボですか」


 「ああ、トリプルコアの機体にターボをつけたらすごいことになるぞ」


 「多分、P-4が嫌がるので」


 「嫌がる・・・か」


 「はい、多分、ですけど」


 「なるほどな、ラスタ君からは勉強になることが多い」



 正教会歴1315年9月


 クランダD-1Tは50機が納品され、実戦配備された。


 これで、クランダ連邦の所有している鬼神は、D-1Tが50機、Z-5が25機、E-1Tが1機となった。


 なお、ヴェル公女のP-2についてはターボ改修がなされ、P-2Tと呼ばれるようになる。

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