第19話 イシュル王国の開発


 イシュル王国はイルバーナ大将の下、新型機開発を急いでいた。

 

 イシュルの新型は疑似魔法石を2個装着するタイプで機種名はZ-10とされた。


 パイロットの適正が50の場合、相性値の平均が0.55、魔法石1つ+疑似魔法石2つで係数が1.6となり、総合能力は44であった。


 それを力1:スピード1:耐久力0.8でパラメーター配分している。


 先ほどのパイロットの例だと


パワー 15.7

スピード 15.7

耐久力 14.1


 という能力になる。


 Z-10は疑似魔法石の技術が売りだが、それまでの魔装スーツより相性値が平均0.05高いのも魅力だった。


 現行モデルのZ-5を解体し、順次Z-10を組み立てロールアウトしている。


 1315年6月現在30機のZ-10が配備されており、


 生産ラインの能力として週に5機は組み立てが終わる計算である。


 ただ、原料その他の制約から、おそらくZ-10は70機が限界と考えられている。


 イシュル王国の鬼神は夏ころまでにZ-10が70機、Z-5が30機、F-8が1機となる予定である。




 クラン王子のF-8がP-4よりも能力が低いであろうことは連合国にも帝国にも知れている。


 イシュル王国は大国の面目をかけて、F-8の強化改修を行う。


 最初、魔法石3つ(トリプルコア)に交換できないかが検討されたが、どうしてもその条件を満たす魔法石が入手できない。


 疑似魔法石はデュアルコアには装着できない、強化は大幅に遅れていたが、ランドヌイからの提案で、デュアルコアにさらにデュアルコアを加えて、魔法石4つ(クアッドコア)にできるのではないかとの提案がなされた。


 そこで、一度F-8から魔法石が抜かれ、クアッドコアにする実験がされ、魔法石としてはクアッドで機能することが確認された。


 その後は機体の強化だった。


 鉄をメインフレームとした場合、強度不足となり機体が持たない。


 材質を色々と検討した末に、魔法繊維に鉄を織り込んだ素材が最も強度が取れているということになり、採用になった。


 機体名はF-9


 機体は白銀色に輝いていた。


 王子の適性が120、相性値が0.8、魔法石が4であるから、総合能力が384


 それを力1:スピード1.1:耐久力0.9でパラメーターを割り振っている。


パワー 128

スピード 140.8

耐久力 115.2


 という化け物のような数値になっている。それぞれの値はP-4より劣るが、P-4と対決しても、また皇帝のV-2(数値は不明だが)と対決しても相手になる機体ではある。


 クラン王子は開発段階からテストパイロットを買って出ており、細部の調整に至るまで口を出していた。


 F-9はまさにクラン王子のための機体となった。

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