新型機開発競争
第18話 帝国の新型機
ヴァルド帝国はクランダ連邦の占領地を失っても動揺はなかった。
皇太子サ=ヴァルドの陣頭指揮の下、新型機N-7が次々にロールアウトされていた。
鬼神をこの世に生み出した天才技術者ランドヌイは、新型機開発に没頭している。
新型機の名称はヴァルドN-7
今回の新型機の一番の特徴は魔法石をパイロットの心臓付近に埋め込むことで相性値を+0.4上げるというものだった。
これにより、例えば適正50、相性値0.5のパイロットがN-2に乗った場合、50(適正)×0.5(相性値)×1(魔法石)=25となるところが、N-7の場合、50(適正)×0.9(相性値)×1(魔法石)=45となり大幅な性能向上が期待される。
ただ、これだけ総合能力で違いが出ると現行のN-2の機体では耐え切れなくなり、機体も強度設計からやり直し、N-7へ変更となった。
もう1つ問題があり、移植手術の際に拒否反応があり、手術を受けたパイロットのうち半数が死亡した。
ただ、帝国にとってパイロットは交換できる部品と考えられていたので、それほど大きな問題とはされなかった。
N-7のパラメーター配分は、パワー1:スピード0.6:耐久力0.9
先ほどの例のパイロットであれば、
パワー 18
スピード 10.8
耐久力 16.2
となる。
また、将軍のナラヌイにはカスタム機が与えられた。
魔法石が2つある機体で、さらにその魔法石をナラヌイの心臓付近に埋め込むことで適正値を+0.4補正してある。
機体の名前はヴァルドA-1
ナラヌイの適正が98、相性値が1.1、魔法石が2つなので、総合力が215.6
パワー1:スピード0.9:耐久力0.8にパラメーターが振られている。
パワー 79.85
スピード 71.86
耐久力 63.88
である。
A-1は他を圧倒する意図で制作されており、他の量産機は圧倒しているが、皇太子のV-2やダナン公国のダナンP-4までは届いていないことになる。
帝国の戦力はN-7が100機、N-2が50機 L-5が5機 A-1が1機 V-2が1機となっている。
皇太子のサ=ヴァルド、将軍のナラヌイ、枢密院議長のネオール、第1旅団団長のカラナ、第3旅団団長のカーナ、第4旅団団長のクリシュナが一同に会して今後の作戦会議を行う。
「次は俺とナラヌイ将軍が出撃する」
「殿下」
「ダナン公国の新型、P-4と言ったか、おそらく魔法石3個(トリプルコア)だろう、俺のV-2でしか倒せないはずだ」
「俺のA-1があります」
「いや、確実に仕留めるには不十分だな」
「はい」
「カラナ、実戦で戦ったのだろう、どうだった」
「はい、L-5の攻撃が通用しませんでした、おそらくは殿下のV-2とほぼ同程度の機体かと」
「そうか」
「まずは新型の整備が重要だ、秋には再度侵攻する、今度はクランダ連邦領全て頂くぞ」
『はい』
会議は閉会となった。
会議の裏で皇帝ラ=ヴァルドはスール王国の密使と会っていた。
和平工作。
しかし、今和平しては何も得るものがない、皇帝はその提案を無視することにした。
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