第17話 戦勝会


 反攻作戦が成功しクランダ連邦各地で占領されていた都市が解放された。


 クランダ連邦の国民は帝国の占領からの解放で沸き立っていた。


 クランダに集結した連合国の鬼神乗り達も首都トレッカに集まり、ラクン首相主催の戦勝会は盛大に行われた。


 

 「P-4のパイロット、名前は?」賑やかな会場でウルフが聞いてきた。


 「ラスタと申します」


 「ラスタ君か、今回勝てたのは君のおかげだ、ありがとう」


 「恐縮です」


 「すごいものだな、ダナンの新型、魔法石は何個積んでいるのだ?」


 「全て軍事機密ですので」


 「まあ、大体の予想は着くが、とにかくありがとう」


 「クランダが帝国から解放されたこと、嬉しく思います」


 「ああ、しかし、帝国も量産機の新型がロールアウト直前らしい、再侵攻があれば、戦場はまたここになる」


 「はい」


 「まあ、君に難しいことを言うつもりはないが、P-4を含めて連合国の精鋭部隊はしばらくクランダに常駐してもらうことになるな」


 「命令であれば従います」


 「ところで、ラスタ君」


 「はい」


 「いや、君なら大丈夫か」


 「はい?」


 「とにかく、ありがとう、俺のカスタム機が出来たら模擬戦を頼む」


 「はい、それはいつでも」


 ラスタとヴェル公女の周りには常に人垣が出来ていた。


 今回の戦勝の立役者である。


 戦勝会は3日続いた。


 クランダ連邦のラクン首相がヴェル公女に接触する。


 「今回はダナン公国の活躍で、祖国を解放することができました、ヴェル様にはなんとお礼を申し上げたらよいか」


 「ラクン首相、お言葉だけで十分でございます、地理的にクランダ連邦は常に最前線にある国、ご苦労を察します」


 「ありがたいお言葉です、ところで、我が国も遅ればせながら鬼神開発を考えております、独自開発をと考えておりましたが、可能であればダナン公国との共同開発とさせて頂きたい」


 「共同開発ですか」


 「はい、開発資金は全て我が国で供出いたします、具体的にはカスタム機を3機と量産機を50機になります」


 「たしかに、帝国の新型機の噂を聞けばクランダ連邦も配備を急がなければならないでしょうね」


 「はい、ダナン公国は受けて頂けるでしょうか?」


 「もちろんです、今回鹵獲したL-5も我が国が研究材料として引き上げますがよろしいですか?」


 「はい、L-5についてはダナン公国の戦果です、異を唱える者はいません」




 戦勝会にはスール王国のヒナ王女は体調不良を理由として出席していなかった。


 スール王国は全ての鬼神を破壊され、ヒナ王女も凌辱によるショックから抜け出せないでいた。


 スール王国は今回の反抗作戦で最もダメージを受けた国かもしれない。



 イシュル王国は、今回45機のZ-5を送り込んできたが、本国の戦力はまだ十分に余裕があり、帝国に対抗すべく新型機の開発を急いでいた。

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