第15話 第7大隊


 戦場は帝国軍優勢で進んでいた。


 連合国のZ-5はまだ50樹ほど稼働していたが、勢いが違った。


 ウルフの相手は2機のL-5がしており、どちらかというと時間稼ぎでウルフの動きを封じる動きをしている。


 ヒナを凌辱したサッテと副官は一度自陣深くまで戻っていた。




 後方から様子を見ていた第7大隊は動き出す。第7大隊はヴェル公女が指揮を執っていた。


 まずは、大破したZ-5改の近くにいたヒナ王女を救出。Z-5に収容した。


 「許せないな、ヴァルド帝国」


 「許せないですよ、ヴェル様」


 そこから、P-2とP-4は全速力で最前線に合流した。


 第7大隊のZ-5はついて行けずに後方に引き離される。



 ヴェルのランスがN-2を串刺しにする。


 抵抗する間も与えない一撃。


 N-2は爆散する。




 ラスタのP-4は初陣だった。


 戦場独特の匂い。死が充満する世界。


 もし、ヒナ王女を見ていなかったら、少し戸惑っていたかもしれない。


 しかし、ラスタの中にはヴァルド帝国に対する怒りがあった。


 P-4はまさに鬼神であった。


 その剣は、目の前にいるN-2を真っ二つに切り裂く。


 切り裂いたN-2が爆散している間に次のN-2を切り裂く。


 P-4は15分のうちにN-2を10機撃破した。


 P-2も既に3機撃破している。


 P-4は紺色の機体だが、この戦いから生き残った帝国兵からは紺碧こんぺきの悪魔と呼ばれている。


 それまで劣勢だった連合国側が一機に反転攻勢に出る。


 そもそも、機体の性能差はほとんどない連合国側のZ-5と帝国側のN-2、戦場の流れが如実に戦果に現れていた。


 最前線の各地で、N-2を圧倒し始める。


 P-2とP-4はその先頭に立ち、帝国軍を蹴散らす。


 ウルフの相手をしていたL-5の2機がP-2とP-4の方に向かう。


 ウルフのZ-6改は胸部ステータスが30まで減少し、危険値まであと少しというところだった。


 P-2とP-4に対し、ヒナを凌辱したL-5まで加わり4機のL-5が囲む。


 4機のL-5はまずはP-2を撃破すべく、集中攻撃を始める。


 P-2はスピードに特化している機体なので、逃げると捕まえきれない。


 4機のL-5はP-2を捕まえきれずに翻弄ほんろうされる。


 そのうちに、紺碧の悪魔ことP-4が迫る。


 通常、鬼神同士の戦いの場合、直撃を受けても何回かはしのげる

パワーと耐久力のパラメーター勝負というわけだ。


 しかし、P-4のパワーは169と圧倒的であり、L-5の耐久力を以てしても耐え切れない。一撃でステータスを完全に削られる。


 さきほど、ヒナを凌辱した副官は、P-4の一撃で魔法石ごとこの世から姿を消した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る