第10話 ヴァルド帝国駐留軍司令部


 帝国の駐留軍、第1旅団団長カラナと第2旅団団長サッテは侵攻と同時に接収せっしゅうしたホテルの1室に2人でいた。


 カラナは褐色の肌、紫の髪の毛、細身の体型の美人である。


 サッテは、極端に背が低い。大柄な男性が多い帝国にあっては珍しい男性である。



 「サッテ、何か新しい情報は入っているか?」


 「いや、入っていない、カラナの方はどうなんだ?」


 「クランダ領西部に連合国側の鬼神が多数集結中とまではあるが」


 「そこまでか、本国からの援軍はどうなんだ?」


 「私の第1旅団とサッテの第2旅団で殲滅せんめつしろとだけだ」


 「本当か?相手は100機近いL-5だろう?こちらは投入できるN-2は80機が限界だ、本国にはまだ100機近いN-2があるだろうに」


 「それが、現状、本国にあるN-2は解体しているという話だ」


 「え?解体??」


 「ああ、魔法石を取り出し、新型機に乗せ換えるらしい」


 「馬鹿な、すぐそこまで敵が来ているんだぞ?」


 「ああ、私もそう思う、ただ、新型の性能はかなりいいらしくてな、私たちは新型が完成するまでの時間稼ぎ程度にしか思われていないかもしれないな」


 「僕たちの配下にあるN-2、もう15年前からの物だからな、イシュル王国もダナン公国も新型を開発していると聞く」


 「ただ、こちらもヴァルドL-5が4機ある、それだけでも、大きな戦力だ」


 「そうだな、せめてナラヌイ将軍のL-5改が駐留していてくれたら」


 「ナラヌイ将軍にもカスタム機が配置される予定らしく、現在調整中らしい、今回の作戦に間に合うかは不透明らしいが」


 「頼りになるのは、駐留軍の戦力のみか」


 「私のL-5もサッテのL-5も、イシュルZ-5撃破数が10機を超えている。副官たちのL-5もそれなりの成果は出している、守り切れる」


 「ああ、そうだな、勝つぞ、カラナ」



 帝国軍は皇太子サ=ヴァルドを頂点として、次に将軍ナラヌイ、その下に4つの旅団がある。


 現状、帝国軍は本国と駐留軍に半分ずつ配置されていることになる。


 そして、新型機開発のため、量産機N-2の絶対数も少ない。


 連合国にとっては、まさに絶好のタイミングでの反抗作戦と言えた。

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