反抗作戦

第7話 クランダ連邦

 ヴァルド帝国と国境を接しているクランダ連邦は常に最前線に位置する。



 15年前、鬼神が初めて投入されたソレイユの戦いがあったのも、クランダ連邦の東部エリアであった。


 現在はその領土の半分をヴァルド帝国に占領されているが、国民の戦意は高揚している。


 

 クランダ連邦の首相官邸には首相のラクン、議長のラクスウェル、それに将軍のナーラが揃っていた。


 「ラクン首相、クランダも独自の鬼神開発をすべきだろう、ダナンですら独自開発をしている」


 「ラクスウェル議長の言うことは分かるが、予算がな、現状では税収もままならない、それに独自開発の費用とイシュルからのレンタル費用を天秤にかければ、レンタルのほうが費用対効果に優れていると言えるだろう」


 「首相、それじゃあ、戦争に勝てませんぜ」


 「ウルフ・・・」


 「たしかに、開発には莫大な費用と時間がかかる、それでもそこから得られるものは計り知れないと言うべきだな」


 「軍の最高司令官の言うことは傾聴けいちょうに値するが、せめて戦果を出してからというところだな」


 「分かった、今回の反抗作戦、成功したあかつきにはまず、俺のカスタム機から作ってもらおうか」


 「了解だ、ウルフ」


 クランダ連邦は反抗作戦の中心となる。


 主力はイシュルから無償供与されているイシュルZ-5


 イシュルZ-5はパワー:スピード:耐久力が1:0.7:1に割り振られ、魔法石が1個の機体である。


 ヴァルド帝国のN-2に対抗するために作られた機体で、総合能力は拮抗する。それゆえにパイロットや運用の勝負になる。


 今回はZ-5を35機投入予定である。


 ウルフと呼ばれる将軍のナーラはZ-5の上位機であるイシュルZ-6改に乗る。

 

 ナーラの適正が85、相性値が0.7、魔法石は1つなので、総合能力は59.5である。


 その総合能力をパワー重視のパラメーター配分にしてある。


 N-2撃破数は15機を数える。


 ヴァルド帝国をして、ウルフと呼ばせ、恐れさせた。



 今回の反抗作戦、イシュル王国からはZ-5が45機投入され、戦線に加わることになる。なお、イシュル王国には新型機として王子クランの乗るF-8があるが、今回の作戦には投入されない予定だ。


 同盟国のスール王国もイシュルからレンタルされているZ-5を15機投入する手はずになっている。


 それに加え、ダナンからは試作機が2機ほど投入される予定だ。


 「ダナンの新型か・・・戦力になるとは聞いているが、たったの2機で何ができるのか」


 ウルフはそう考えていた。


 Z-5の総数が95機、連合国側の総戦力と言っても過言ではない。


 ヴァルド帝国の駐留軍には80機のN-2と第1旅団、第2旅団の団長・副団長が乗るL-5が4機あることが確認されていた。


 ヴァルド本国にもほぼ同数の機体があると考えられることから、増援が来る前に殲滅することが求められていた。

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