第23話:後始末
兄上は人質の値段交渉と賠償金交渉のために使者を送られました。
本当なら言葉を話し事ができる賢い魔獣にすべきなのですが、兄上は魔獣を可愛がっておられるので、オドロオドロシイ姿をした傀儡を派遣されました。
圧倒的な強さを誇る、竜の爪から変化させた大型の竜爪兵が使者では、ヘンリー国王も恐怖で凍り付くことでしょう。
「では兄上、交渉がまとまるまでは、私が捕虜を利用させていただきますね」
私は兄上の領地を襲った五万兵を利用させてもらう事にしました。
身代金や賠償金の条件が纏まるまでは、彼らはただの厄介者です。
食糧を喰い潰し、逃亡や暴動を起こさないように見張らなければいけません。
身代金や賠償金の条件が纏まらなければ、我々の負担になるだけです。
それでなくても、国境近くの村々は破壊され略奪されています。
逸早く領民を避難させたので人的被害はありませんが、兄上の領民には忌み嫌われ、いえ、とても憎まれているのです。
「ああ、好きに使うといいよ、必要なら魔獣の餌にしなさい」
兄上がわざとモンタギュー王国軍幹部の前で酷い事を言います。
彼らに嘆願書を書かせて身代金交渉を有利にするためです。
身分や金のある者から順番に母国に戻れば、残された将兵の恨みは母国の王や領主に向かいますから、後々奴隷や小作農として使う時に問題が少なくなります。
食糧は必要ですが、それはダンジョンに実らせればすむことです。
五万人分の糞尿をダンジョン内に運び、私の魔力をダンジョンコアに与えれば、多くの食糧に変換することが可能です。
「逃げようとしたら私の傀儡が貴方達を殺します。
いえ、私の魔獣が貴方達を喰らいますから、誤解を受けるような態度はとらないようにしてくださいね、いいですね」
私の傀儡に率いられた捕虜達が、私の領地まで行軍するのに付き合って歩く気などなく、転移魔法で領地に戻りました。
そこでドランク王国軍の捕虜を兄上と同じように脅して、ダンジョン内で糞尿をするか、外でした糞尿をダンジョン内に運ばせました。
捕虜の中には貴族家や騎士家の当主もいたのですが、私を女だと舐めた態度を取る者がいたので、ちょっと腹が立ってしまいました。
「分かりました、そこまで舐めた態度をとるのなら、もう身代金交渉は止めです。
貴男方の領地も城も全て根こそぎ奪います」
そう言うと、先ほどまで傍若無人に振舞っていた者の半数が大人しくなりましたが、それは表面上の事だけで、内心は相変わらず私の事を舐めていました。
残る半数はそのまま偉そうに命令口調のままです。
仕方ないので魔獣達の口に頭を入れてあげたら、粗相をして失神しました。
彼らの事など無視して、魔皮兵と魔木兵と魔岩兵に侵攻してきた王家派の領地に攻め込ませました。
そのまま人を殺さないようにして、王都も包囲してやりました。
これで少しは反省するでしょう。
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