第14話:追い込み猟
「ウェラン大公国第一騎士隊、エーファお嬢様の命により参上いたしました」
オリヴァーが私への愛を全く隠すことなく情熱的な視線を送ってくれます。
今の私には、その視線はまぶし過ぎます。
しかも私はその愛情を利用しようとしているのですから、胸が痛みます。
ですが、どれほど胸が痛もうとも、領主としてやらなければいけません。
私が死んだ後でもダンが農園ダンジョン層を維持できるようにしなければ、領民を本当の意味で護る事などできないのです。
「では、今からダンジョンに獣や魔獣を追い込んでもらいます。
強い魔獣は斃さなくても構いません、ダンジョンに追い込むだけです。
そうすればダンジョン内のモンスターが獣や魔獣を斃してくれます。
ダンジョンモンスターに斃された魔獣を、回収できるのなら回収しても構いませんが、できないのなら無理に回収する必要はありません。
回収できなかった魔獣は、ダンジョンが吸収して地下城砦維持の魔力に当ててくれます、分かりましたね」
「「「「「はい!」」」」」
ダンと色々と相談して、ダンジョンを模様替えすることにしました。
大改造ではなく、模様替え程度です。
元王国密偵や元王国騎士が、家族と一緒に農民として暮らす深層農園の更に下に、私と直臣達が暮らす迷宮城層をもうけて、鉄壁の護りとするのです。
外周部は農園や牧場にして、完璧な自給自足体制を整えます。
一番ありがたいのは、尾籠な話ですが、糞尿の処理が不要になる事です。
人間が処理しなくても、ダンが吸収利用してくれます。
「各屯は散開して魔獣を追い立てろ、絶対に無理をするんじゃない」
オリヴァー配下の騎士隊が、騎士長が指揮する各屯に分かれて、横に長く大きな開口部となったダンジョンに魔獣や獣を追い立てています。
屯は騎士長が一騎、騎士が十騎、従騎士が百騎配属されていて、拠点となる砦や街に独立して駐屯することもある部隊です。
彼らが一致団結して戦えば、少々強い魔獣でも軽く斃すことが可能です。
ですが今回は、彼らに活躍してもらう事が目的ではなく、ダンに生命力を補充してもらう事が目的なのです。
「魔狼です、魔狼の群れがいます」
「待ちなさい、その子達は私の従魔にします」
新しい魔狼の群れがこの魔境にやって来ていたのですね。
他の魔境で縄張り争いに負けて逃げてきたのでしょう。
強い群れなら元の魔境から移動する事はありませんから。
ですが弱かろうと構わないのです。
今従魔になってくれている魔狼の群れに新しい血を入れないと、血が濃くなり過ぎて障害が出てしまいますから。
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