第13話:畜産計画
ドランク王家も兄上も色々と画策しているようですが、気にしていては何もできないので、我が道を進むことにします。
恐らくですが、この国は戦乱で荒れることになります。
隣国が攻め込むかどうかは分かりませんが、間違いなく内乱が起こります。
貴族や王家に争う気がなくても、これだけ緊張状態が続いたら、盗賊や隣国が軍隊に偽装して村々を略奪して回るはずです。
多くの死傷者が出て、民が安住の地を探して故郷を捨てるでしょう。
「ダン、一階層は魔獣を発生させないようにして、獣が安心して暮らせるようにしてくれる、そうすれば余計な魔力を使わないで済むわ」
「でもそれでは魔力や生命力の吸収ができなくなります」
簡単な足し算と引き算なのだけど、理解し難いのかもしれません。
一階層が自由で安全な獣空間になれば、最初は弱い獣が入ってきます。
しばらくすれば、その獣を捕食する少し強い獣が入ってきます。
最終的にはもっと強い獣が入ってきて、ダンが魔力を使って魔獣の影を創り出さなくても、ドロップを創り出さなくても、生命力が手に入ると思うのです。
ただ、ダンジョンを維持するだけで多くの魔力を必要とするのなら、人間や魔族を誘い込んで争わせなければいけないのでしょうね。
「魔獣の影やドロップ品を創り出さなくても、階層の維持だけで多くの魔力を必要とするのなら、一階層で鶏を飼い屠殺するようにしましょう。
そうすれば生命力を吸収することができるのではない?」
「はい、それならダンジョン階層維持の魔力を補うことができます」
「それは、深い階層でも同じなの?
ダンにお願いして創り出してもらった、深層の農園階層でも、多くの鶏を屠殺すれば生命力を回収することができるの?」
「はい、別に深さは関係ありません。
関係するのは広さ環境、壁と床と天上の広さと温度や光の加減なので、農園のような広さで人間が住みやすい環境を維持するのは、結構魔力を使います」
なるほど、よく分かりました、では生命サイクルが短い動物やモンスターを選んで、魔獣の影やドロップ品を創り出さない階層で育てて殺せばいいのです。
成長が早く食用にできるのは鳥類になりますが、ダンジョンから逃がさない事、飼育の容易さを考えれば鶏になるでしょう。
ネズミやスズメ、スライムなんかは弱いですが、捕らえるのが難しくて、せっかく作った作物を荒らされてしまいます。
害獣被害のない理想的な農園がダンジョン内に完成したのですから、ダンジョン農園で飼育するのは鶏と五畜に限る事にしましょう。
「分かりました、直ぐにダンジョン内で飼育する獣とモンスターを用意します」
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