第9話:ダンジョン農園
離婚してから二年近く経ちましたが、その間多くの山賊が襲ってきました。
普通なら死んでいるのでしょうが、私には可愛い魔獣がいます。
紙兵や木兵や土兵もいますから、全く問題ありませんでした。
問題がないどころか、農園開発の労働力になってくれました。
王家が誇る騎士団徒士団のほぼ全員が、ダンジョンの奥深くにある地下農園で耕作に励んでくれています。
「王家から詫びの使者が来ると思うが、今まで通り捕虜にしておきなさい。
捕虜の家族を呼び寄せたいのなら、今が好機だよ」
兄上から使者がやってきて、アドバイスをくれました。
私は、捕虜にした者達が家族離れ離れになっているのを憂いていました。
兄上はそれを知っていて教えてくださったのです。
捕虜達にその事を伝えて手紙を書いてもらいました。
手紙を鳥型の紙兵に変化させて捕虜家族宅に送ったら、ほぼ全員が領地に来ましたので、地下農園に誘導して再会させてあげました。
「私はウェラン伯国を名乗って独立する心算だ。
だから王家がエーファから奪った領地と財産を返すと言ってきても突き返す。
私が突き返したらエーファに返すと言ってくるだろう。
受け取るも突き返すもエーファの好きにすればいい。
どちらを選ぼうと、エーファは私の可愛い妹だよ」
兄上が愛情のこもった手紙を送って来てくれました。
王家から領地と財産を返してもらったら、お礼に王都に行き形だけでも頭を下げなければいけませんが、絶対に嫌でした。
その時に魔獣や傀儡を使って王族を皆殺しにする事もできますが、そんな事は王家が喧嘩を売ってきた時にもやれた事なので、今更です。
私の領地は、今では地上の農園も含めれば三万人もの民がいて、王国一の農産地になっているのです。
「私は兄上の家臣として生きていきたいと思います。
領地はジュリアスに継がせたいと思いますので、よろしくお願いします」
私は兄上へ手紙を書き、ウェラン伯国に臣従すると伝えました。
兄上の事ですから、周辺国と反王家貴族への根回しは終えているはずです。
私が受けた一連の理不尽な嫌がらせと攻撃は、王家の求心力を地に落としました。
多くの貴族家が王家から離反し、兄上か周辺国に主家を変えるでしょう。
中には兄上を見習って独立建国する貴族もいるでしょう。
自業自得ではありますが、ドランク王家は滅ぶしかないでしょうね。
まあ、そんな事はどうでもいい事で、私がやる事は今までと変わりません。
私が魅了したダンジョンコアに、浅層は農園型ダンジョンにしてもらい、戦乱で故郷を追われた民が逃げて来ても大丈夫なようにするのです。
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