第12話 2030年8月26日/27日


 二人がヴァイスの神宮司に報告書を上げた翌日、Dreamsに対する聞き込み調査の準備をしている最中のことだった。直属の上司である榊は対象者が急増しているとの報告を受け大阪に出張中であった。榊がいないとき、神宮司に報告を上げるのが決まりである。

 夜の十時を回って、オフィスに残っているのは龍と潤、二人きりだった。

「おや・・・」

 潤がタブレットの画面を覗き込みながら首を捻った。

「どうした?」

「いや、まあ偶然だと思うんだけどさ」

 潤がおいでおいでをするように龍に手を振った。

「なんだ?」

 言いながら潤の目の前にある液晶画面を覗き込んだ龍は、以前見た記憶のあるゲームの初期画面がそこにあるのを確認した。但し、それは英語版だった。

「いや、いざという時に海外のチームに連絡を取るために英語版のタイトルはなんだったっけ、と思って開いてみたんだけどさ・・・」

「うん?」

 Dungeon of Enigma VS Intelligent Lilliput(謎の洞窟対賢い小人たち)という英語版のタイトルが躍っていた。

「どう思う?龍はアメリカに言っていたことがあるんだろ」

 潤の質問の意図を捕らえあぐねながら龍は答えた。

「どうって・・・。あんまりこなれた英語じゃないとは思うけどな。intelligentなんて単語はどちらかというと使わないかもな。多分ベースは英語圏で作られたものじゃない」

「へえ、そうなのか?」

 潤は感心したような声を出した。

「brainyとか・・・。特にゲームの中とかではとにかく長い単語は使いたがらないもんだ。で?」

「いや、このタイトルの単語の頭を並べるとさ」

 そう言いながら、ジュンはボールペンでパッドに文字を書いた。

 DEVIL・・・悪魔。

「あるいは・・・」

 潤はDのあとに小文字のoを足した。Dungeonのoのつもりらしい。

 Do Evil・・・悪を行う。

「なるほど・・・」

 龍は眉をひそめた。

「ま、偶然かもしれないけどさ。なんだか変な偶然が多いな」

 と言った潤に

「いや、意外と当たりかもしれないぞ。なんだかそんな勘がする」

 と龍は答えた。詩や文章の頭文字を繋げて別の意味を持たせるのはアクロスティックと呼ばれる。これはその変形のような物だが、妙にしっくりくるような気がするのは気のせいだろうか?

「Lillipatっていうのは何だっけ。別のゲームに出ていた気がするが・・・」

 潤の言葉に

「ドラゴンクエストだろ。だが、もとはと言えば、ガリバー旅行記に出てきた小人国の住人の事だ」

 と龍は間髪かんぱつを入れずに答えた。

「そうか・・・。龍は何でもよく知っているなぁ。でもゲームのキャラクターを使いまわすのはよくあることでもある」

 そう言った潤に、

「確かにそうだが、ドラゴンクエストではモンスター側だ。敵味方が混在することはあるが、主人公レベルでは少ない。その事に今まで気付かなかった」

 と龍が指摘した。

「なるほどね」

 潤は顎に手を置いた。

「まあ、明日にはおふだを持って挨拶に行けるんだから」

 お札とは、捜索令状の事であるが、彼らの令状は裁判所から出される警察の令状とは別に内閣府から出されることになっていた。裁判所もこの件に限っては行政が主導権を取ることを容認している。但し、捜査令状と強制入院令状と呼ばれる二つの令状の発行は発行と同時に最高裁判所に提出される決まりで、それによって権限の分立は保たれている。違法な形で捜査や強制入院がなされないようにするためであった。裁判所はその懸念がある場合は令状の停止を強制的に行うことができる。

「その時、確かめればいい」

「そうだな」

 龍は頷いた。

 Dreamsは渋谷にある。しかし再開発の進んだ駅周辺の高層ビルに居を構えているのではなく、駅からしばらく歩いたいわゆる、裏渋谷と言われる地区にあった。ゲームなどの開発をするヴェンチャーが新しいビルに入りたがるのはただ、ステータスを求めてではない。回線やセキュリティの最新のものを求めて、という理由が大きい。それにしては、と龍は不思議に思った。地図アプリなどで調べた限り、Dreamsはおおきな一軒の物件を借り切っている。平成の初期に建てられた三階建ての何の変哲もない建物で、写真で外観を見る限り木造のようにも思えた。

「しかし、何で一軒家なんだろう?」

 龍は呟いた。

「確かにな。ソフト会社を運営しているようなやつらは往々にして高いビルをじ登りたがるもんだ。一軒家っていうのは日本では珍しい」

「そうなんだ。ドイツとかの企業は一軒家を好む、アメリカは広大な敷地を望む。日本は高いところに行きたがる」

「まあ、それも明日になればわかるさ」

 潤はまぶたこすった。いくら若いとはいえ、長時間労働は体にこたえる。

「まあ、そうだな。そろそろお開きにするか」

「了解」

 そう言うと、潤は画面を閉じた。


 翌日、早朝一度オフィスに集合してから渋谷へ向かおうとする直前の事だった。

「おい、龍」

 と潤がデスクで大声を出した。一応、相手があることなので今日は潤もスーツ姿である。龍も同じだ。

「今度は何だ。そろそろ出かける時間だぞ」

 と答えた龍に

「いいから、すぐにこい。それどころじゃない」

 潤はただならない表情をしていた。

「見ろよ」

 それはネット動画ニュースだった。

「本日、未明東京都渋谷区松濤一丁目の家屋で火事が発生し、現在も消火中です・・・。」

 その画面を見た途端、龍は殴られたような衝撃を受けた。見覚えのある建物、Dreamsが入ってた建物だった。だが、アナウンサーの次の言葉に更なる衝撃を受けた。

「幸いこの建物の住人は一昨日退去し、空き家だったそうです。しかし、火の手が強く、隣接する二棟が延焼し現在けが人がいないかを捜索中とのことです。」

「退去・・・空き家?」

 龍が呟いた。

「どういうことだ?」

「それも一昨日っていえば・・・」

 潤と龍は目を合わせた。

「とにかく行ってみるしかなさそうだな」

「うむ、神宮司さんには状況を伝えておこう」

 そう言った龍の肩を潤が掴んだ。

「いいのか?」

 潤の考えていることは分かる。一昨日、Dreamsが突然退去をしたのは、調査の対象になるということを知ったからであろう。それを知ったという事は、即ちこの未確認犯罪要因対策本部本部から情報が漏れたという事に他ならない。その上、急遽きゅうきょ退去を決めた背景には、そこに知られたくない重要な事実が存在していたからに違いない。

 内部に敵がいる、という事だ。それも重要な秘密にかかわる。そんな時先ず考えなければならないのは内部の敵にどう対応するかという事である。もし、神宮司がその敵であったら・・・。

「そうであっても、いずれ知られることだ。なら早いうちにコンタクトして反応を見た方がいい」

 肩の手の圧力が緩んだ。

「なるほどな」

「まあ、神宮司さんがdeep throatということはないだろう」

 deep throatというのは内部に潜んだ敵、それも内情を良く知る敵の事である。

「まあ、俺もそう思うが・・・」

 と言いつつも潤は強い目で龍を見た。

「予断は禁物だ。俺たちの相手は悪魔だぞ」

「分かっている」

「俺も行こうか?」

 潤の言葉に龍は首を振った。

「万一のことがある場合に二手に分かれよう。十分経って戻ってこなかったら、すぐに行動を起こせ」

「分かった」


 神宮司の出社は一番早い。おそらく今オフィスにいるのは、龍と潤、そして念のためにいる有人警備の警備員と神宮司くらいのものだろう。もし、それ以外に誰かいたら、それは真っ先に疑うべき相手だ。何かを企んでいる人間はいつもと違う行動を取りがちなものだ。だが神宮司の部屋に行く途中には誰も会わなかった。ドアをノックすると、

「誰だね?」

 という神宮司の声が返って来た。

「和田です」

 龍が答えると、

「入り給え。ドアは開いている」

 低く響いたその声ににごりはどこにもなかった。


 龍の話を聞くと、神宮司は卓上に置かれたコンピューターを無言で操作した。どうやら記事を確認したらしい。黙ったまましばらく考えると、神宮司は、

「和田君、コーヒーはどうだね?」

 と尋ねた。龍が部屋の隅に置かれたコーヒーメーカーに目を遣ると神宮司は黙って首を振った。

「そうですね、外に飲みに行きましょう」

 龍の言葉に神宮司は頷くと、腕時計を見た。オメガのスピードマスター・・・神宮司は、飾りに無駄な金をかける男ではない。良いものは買うが、無駄なものは買わない主義だ。スピードマスターは彼の目にかなった品物なのだろう。

「カフェモンテが今なら空いている」

 神宮司はそう言って、スーツを手に取った。どんなに暑くてもスーツを羽織り、汗ひとつかかない、神宮司はそういう種類の人間だった。


「あの部屋はクリーンアップする」

 ビルの外に出るなり、神宮司は言った。考えていることは分かった。内部に敵がいる以上、全てを疑わなくてはならない。盗聴器を仕掛けられている可能性は十分ある。おそらく、龍たちのオフィスも同じことをすることになるだろう。行き先の場所をわざわざ口に出したのは、盗聴器を聞いた人間が万が一にでも誘き出されないかという罠である。そのトラップには相手が引っ掛かる可能性はさほど高くないが、カフェでは目を凝らす必要がある。

「ちょっと電話を掛けさせてください」

「いいが・・・」

 立ち止まると神宮司は問いかけるような目をした。

「潤に連絡しておかないと・・・十分して帰らなかったらアクションを起こすことになっているんです」

「なるほど・・・いい心がけだ」

 神宮司は微笑むと、

「彼にもこっちへ合流しろ、と言い給え」


「意外な展開だな」

 湯気を立てているコーヒーカップの向こう側で神宮司が呟いた。潤も合流している。

「・・・内部に敵がいるという事・・・ですか?」

 潤の問いに、

「それもあるが、相手がそこまでするという事が意外だ。Dreamsという組織、それも日本支社という位置づけだろう?そこから退去するだけではなく火事まで起こした、というのは何か致命的なものがその建物にあったという事を示しているような気がする」

 神宮司は言うと目をつむった。

「確かに、そうですね」

 龍は頷いた。

「君がだした報告書を見ることができるスタッフの数は総勢87人、君たちと私を含めてだがその数の中から裏切り者を特定する必要が出てきた。どうする?」

 87人とは東京オフィス全てのスタッフ数である。龍は暫く考えてから話し始めた。

「まずは我々が粛々しゅくしゅくと予定していた行動をする、しかありません。Dreamsの退去そのもの、火事の発生を情報のリークと我々が重ねてみるか、という点では向こうはそう受け止められても仕方ないと覚悟のうえでやった事でしょうが、完全に結びつけるという確証はない。われわれは疑いつつも、その確証はないというスタンスで臨む必要があります」

「そうだな・・・」

 神宮司は呟いた。

「ですから、この件の捜査を公然とやるわけにはいかない。様子見、という風に思わせつつ活動をする、、、なかなか難しいですね」

 龍の言葉に潤が首を縦に振った。

「うむ」

 神宮司も深く頷いた。

「とにかく、我々は一旦、火事の現場に行くことにします。その後のことは相談しながら決めましょう」

「分かった」

「神宮司さんはどうします?」

「君たちと同じだ。出雲さんには話さざるを得ない。全員のログを確かめるにはあの人の権限が必要だからな。それにクリーンアップもしなければならない」

「そうですね・・・。出雲さんが敵、という事はあり得ないし、万一そうだとしたら組織は一から出直しになります。あるいは怖くて永遠に組織を作れない」

 龍が言うと、

「あの拘束衣を全員に着せてみるというのはどうだ?」

 と潤が言った。

「悪魔なら少しは反応するだろう?」

「確かにその手はある」

 龍は頷いた。

「だが、それを知った途端、敵は逃げ出すかもしれん。捕まえることがベターだ」

「なるほどな」

 頷いた潤と龍に向かって、神宮司は

「いずれにしろ、慎重に行動したまえ。とりあえず君たち二人の動きを敵は最も注目するだろう」

 と警告した。

「それと報告は当面、MEOBHでやってくれ」

 二人は頷いた。MEOBHとは、My Eyes Only, By Hand即ち、自分だけに手渡しで、という事である。メールなどコンピューターを使えばどうしても痕跡こんせきが残る。それを避けるためだ。二人は揃って頷いた。


「しかし・・・いったい誰だ?」

 渋谷駅を降りて旧東急百貨店本店があった方へ向かい歩きながら、潤がこぼした。

「裏切り者がいたんじゃ、仕事にならない」

「静かにしろ、誰が聞いているか分からない」

 龍の言葉に首をすくめると潤はあたりを薄ら寒そうに見回した。景気が悪いと言っても渋谷は人通りが絶えることがない。高層複合商業ビルと化した旧百貨店跡地に突き当たると二人は左折した。暫くすると火事のあった場所特有の焦げ臭いにおいが風に運ばれてきた。

 「次を右折したところだ」

 潤が言い、二人は角を曲がった。車の交通規制はまだかかっており、数台の消防車と警察車両がさして広くない道に停まっていたが、歩行者の規制は殆ど解除されていた。野次馬の中には近所の人たちばかりでなく、買い物客も混じって遠目に火事の現場を見ている。唯一残された現場前の規制線に近づくと、消防署員や警察官が焼け落ちた現場で作業をしていた。

 規制線に近づいてきた二人を目敏めざとく見つけた若い警官が、

「ここから先はだめです」

 と、とどめてきた。

「何を・・・」

 と言いかけた潤を押しとどめ、

「すいません。保険会社のものですが。ちょっと建物の所有者とお話させていただきたくて。いらっしゃいますかね。お邪魔するつもりはありませんが」

 龍が丁寧にそう言うと、若い警官はじろじろと二人の様子を眺めた。スーツ姿が功を奏したのか、黙ったまま一人の男を指さした。眼鏡をかけた背の低い中年の男は焼け跡を虚ろな目で眺めている。

「ありがとうございます」

龍は言うと、潤を促してその場を離れ男の方へ近づいて行った。

「すいません、この物件の所有者の方ですか?」

 男は胡乱うろん気に二人を見た。

「そうだが、あんたたち誰?」

 かすれ声で応じた男に、

「ちょっとお話を伺いたいんですが、コーヒーでも飲みながらどうでしょう」

 と龍はへりくだった口調で尋ねた。

「ブンヤさんかい?」

 男は疑い深い口調でそう言った。

「いえ・・・」

「まあ、いいや。警察に呼ばれてなんか色々尋ねられて、それからずっとここで立ちっぱなしだ。朝飯をおごってくれるかい?」

「もちろんです」

 龍の言葉に男は頷くと、先ほどの警官の方へ歩いて行った。

「良いってさ。あとでもう一度戻ってこいとは言われたが・・・」

 目を擦り乍ら男はぶつぶつと言った。

「こっちは被害者だっていうのにね。まるで尋問だ。そのくせ肝心なことは教えて貰えない。これから他のビルにも挨拶に行かなきゃなんないんだけど、まだ原因が分からないっていうんだ。失火と放火じゃ、訳が違うからね。とはいっても、あそこは電気もガスも止めたんだ。失火の訳がないんだが」

「大変な目にあいましたね」

 龍の言葉に、

「おれはこのあたりに何軒か不動産を持っているんだけどね、こんな目に遭ったのは初めてだよ」

 と愚痴をこぼした。


 喫茶店でモーニングセットのトーストにかぶりついている男を見ながら、龍はあたりをうかがった。怪しい人影はなかった。出勤途中に寄ったらしいOL風の女性、近所の老夫婦らしい二人連れ、参考書に取り組んでいる浪人生らしい若い男。それぞれ席の間隔があいているので小声で話せば、人に話の内容を聞かれる心配はなさそうだった。

「ああ、生き返った」

 コーヒーを飲み干した男は、にっこりとした。

「朝の五時に叩き起こされたんだ。それから一口も飲み食いしていなかった。それで何の話が聞きたいんだい」

「実はあそこの物件を借りていた人たちのことを伺いたいんです」

「?」

 男の顔に浮かんだ疑問符に対して、龍は名刺を差し出した。

「内閣府・・・。あんたたち役人かい?」

「そうは見えないかもしれませんが・・・。実はあそこの物件を借りていた団体を少し調査していましてね」

「ふうん」

 男はまだ不審そうな表情だった。

「確かに警察にも聞かれたんだが、あの人たちが出て行ったあと一応、おれは確認したんだよ。火の起きるようなことは何にもなかったし・・・。まあ、もぬけの殻みたいにきれいさっぱり荷物は持ち出していったんだ」

「なるほど・・・。いつ頃から借りていたんですか?」

 龍が質問を続けると、

「ざっと五年ほど前からかな」

 男は思い出すように宙を睨んだ。

「いい借り手だったんだよ」

「どこからかの紹介ですか?」

「近くの不動産屋さ、本当は個人に貸したかったんだがね。法人だって聞いたから少し嫌だったんだが、払いが良くてね。ソフト会社だっていう触れ込みだった」

 男はそう言うと首を捻った。

「あいつら、もしかしたら詐欺グループかなんかか?」

「なぜそう思われますか?」

 龍が聞いた。

「いや、あの建物は月45万くらいで貸すつもりだったんだが、個人じゃないっていうんで少し渋ったら10万上乗せするって言って来たんだ。詐欺グループなら儲けが大きいだろうからな。それに・・・」

「それに?」

 龍の相槌に

「何度か出入りをしているのを見たんだが、若いやつらが多かったんだ」

 と男はにやりと笑った。

「ソフト会社は若い人間が多いもんですよ」

 潤が会話を引き取った。

「そうか・・・。詐欺グループじゃないとしたらなんであんたたち調べているんだ?」

「それは色々とありまして、今はお教えできないんですが・・・」

 龍が済まなそうに言うと、男は

「良いってことよ。あんたたちは朝飯を奢ってくれた。警察や消防に比べれば天国のような対応だ。悪い人間じゃなさそうだしな」

 と言った。

「ありがとうございます。申し訳ないですが、賃貸契約書をお借りできますか?あと、不動産会社も教えていただきたいのですが」

「分かった。後でここに連絡してくれ」

 男は自分の名刺を渡した。男の名前は白石圭吾。練馬区在住・・・。一瞬でその住所と電話番号が龍の脳裏に叩き込まれた。その時テーブルの上においてあった男のスマホが鳴り出した。男は電話を取り、暫く会話をすると、

「警察からだ。実況検分がそろそろ終わりそうだってよ。来いってさ。どうやら放火という見立てらしい。少しは肩の荷が下りたよ」

 電話を切ってそう言った。

「あと・・・警察の方には我々の事を言わないでおいていただけますか?聞かれたら保険会社だと・・・。さっきそう言ってしまったんで」

 龍が頼むと、男は笑って、分かったと答えた。

「あんたたちも大変だな。色々と縄張りがあって」

 そう言うと男は喫茶店を出て行った。

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