第70話
「こんなに早くここにまた来ることになるとは……」
王城の前には騎士団というにはあまりに心もとない人数と装備の人間が立っている。
魔獣たちが暴れた一件でけが人の治療も追いついていない様子だった。
「まさか王国はあれだけか……?」
レイリックが拍子抜けしたようにそう言う。
数はおそらく数百程度で、間に合わせに鎧を着せられたであろう人間も何人も見受けられる状況だった。
ちなみに当然だが、馬もいなければ竜もいない歩兵だけの集団だ。
と、そこに一匹の竜が現れた。
「あれは……」
ミリアが一瞬だけ目を見開いたが、すぐに正気に戻る。
うん。大丈夫そうだな。
「これはこれはレインフォース卿。ついに気が狂って攻め込んで来たのか?」
竜の上からそうちょうそう挑発すするのは……。
「兄様……」
「あれがアルン第一王子か」
そしてあれが……。
「父ちゃんのかたき……!」
「あいつだ! あいつがあいつがやった!」
ホブゴブリンたちが殺気立つ。
「ふん……なるほど、数が多いと思えば下等な生き物で戦争ごっこというわけか」
「そちらこそ、戦争ごっごっこもできないほど苦しい状況のようで大変だな」
「貴様……」
いまアルンから見えているのは俺たち竜やペガサスに乗ってきた第一陣と、歩兵たちだけ。
魔獣たちは背後に控えている。
そのせいか、ホブゴブリンたちを舐めているからか、それとも何か奥の手があるのかわからないが、第一王子アルンは余裕の表情を崩さない。
「国王は出てこなくて良いんだな? このままだとこのアルンの言葉を貴国の総意とみなすことになるが」
「馬鹿馬鹿しい! テイマーごときにいちいち国王が出てくるなど。王子たる私が出てきているだけで異常なのだ! そのありがたみもわからぬか!」
なるほど……。
「こちらには前回やってきたときに、国王自ら署名をもらって条約を結んでいたんだがな。どこかの馬鹿が知らずに反故にしたようだから、対応によってはと思ったが……いいんだな?」
神獣の力を借りて威圧をかける。
ズン、と、周囲の空気が重たくなったかのような錯覚すら起こる。
「ぐっ……⁉ なんだこれは⁉」
アルンが竜上で思わずうずくまる。
下にいた騎士たちもまた、何人かが立っていられなくなった。
霊亀と鳳凰をテイムしたことで俺自身の力も相当なものになっているようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます