第63話 領地情報整理
領地に戻るとすぐ、ホブゴブリンたちと話をしていたシャナルが迎えてくれた。
「ただいま」
「おかえりなさ……え……? なんか増えてませんか?」
鳳凰の姿を見て固まるシャナル。
遅れてレイリックがペガサスから降りてきた。
「地上から追いかけてくる連中は多いぞ? 準備を進めた方が良いのではないか?」
「え、また増えるんですか……」
「まぁ……ミリアの頑張りもあってな」
「そんな……私は何も……」
遠慮するミリアの手をシャナルが取る。
「大丈夫です。兄さんがおかしいだけなので」
何か俺がいない間に仲良くなったようだな……。
そんなことをしていると向こうから……。
「兄貴! 陛下! 見てください! 俺軍関係の仕事ちょっと任されるようになったんすよ!」
「あう……おかえり、なさい」
アドリとエリンがそれぞれ書類を抱えながらやってくる。
ロビンさんはドワーフと鬼人たちを従えて追いかけてきてくれているし、ムルトさんも何も言わず領地に関わってくれていることがわかる。
「あら、おかえりなさい」
「母さん」
改めて、領地に戻ってきたんだなと実感した。
◇
「さて、これで本格的に動き出せるな」
あのあとすぐ、タイミングを図ったようにムルトさんがエルフの若手を連れて領地にやってきた。
レイリックに対して言いたいことは山程ありそうな様子だったが、ひとまず抑えることにしたようだった。
いわく……。
「ユキア様が天寿を全うされてから、改めて若様には色々と言わねばならぬことがございます」
とのことだったが。
本当に生きるスケールが違うな……。
そんな中でこのタイミングで領地にやってくるエルフたちというのは、皆俺にとってはいい意味でエルフらしからぬ、レイリックに親しいタイプだったのはありがたかった。
「まず兄様、状況を整理しましょう」
「そうだな」
ざっと領内の情報を整理していこう。
まずは人間。これは俺とシャナル、母さん、ロビンさん、そしてミリアの五人だ。
続いてエルフ。レイリック、エリン、アドリ、ムルトさんに、新たに二十のエルフが加わった。
そしてドワーフ。カイゼルは流石に付いてこなかったものの、五十ものドワーフが付いてきてくれている。
ここまでが同盟国ということになる。
「鬼人は結局全員テイムしてくれって言われたからな……」
「あれ? 兄様もテイムされたままでは……」
「ああ、まあこれもユキアの寿命までの付き合いと思えば些細な問題であろう?」
ということで、テイムして傘下に加えたメンバーは……。
まず鬼人族、集落に三百ほどいるが、まず領地にやってきたのは若手を中心にした二十人ほど。
だが一人ひとりが単純な戦闘能力でゴブリン千以上に相当する上、進化前のゴブリンやオークと違って最初から知能があり、寿命も長い。
そして何より、付いてきた二十のうち五人ほどは、鬼人王ゴウマや若手の代表格だったセキと異なり、スマートな体型をしていたのだ。
鬼人族の中でも上位種族だったゴウマやセキと異なる進化体形をとった実力者、アサシンオーガたち。
彼らはロビンさんとムルトさんの部下として働いてもらうことになった。
あとはゴブリン、コボルト、オーク、トロールが一万以上。
狼、兎、熊、イノシシ、鳥のような動物が魔物化したものを含めれば二万近くの大所帯となっている。
そして連れてきたドラゴンを始めとする魔物と馬などの動物たち。
その中から進化したホブゴブリンやハイオークなどが、これもロビンさんの教育によって書類仕事まで担うようになっていたらしい。
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