第44話 レイリックの考え
「ここが……ユキアさんの国……」
到着するなりミリアが驚愕していた。
ちなみに道中、竜に乗りながら何度かやりとりをした結果呼び捨てで呼ばなければいけないルールが発生している。
「ユキアさんは一国の主、私は亡国の姫ですから」
「縁起でもない……」
そんなやりとりを経て今に至る。
「兄さん!」
ドラゴンから降りるとすぐにシャナルが駆け寄ってきてくれた。
乗せてくれたドラゴンを撫でてからシャナルのほうを向いた。
「ただいま、シャナル」
「これを見ると……王国はもう?」
連れてきた使い魔たちを見てシャナルが問いかける。
竜種三十、馬や鳥などが千以上、そして魔獣が十数匹。
シャナルはこれが王都の全戦力であることを知っている。
だから出てきた言葉なんだろう。
「流石に滅ぼしたりはしてないよ」
「兄さんが直接手にかけずとももはや……」
そこまで口に出してからシャナルは初めてミリアの存在に気付いた。
「王女様っ!? これは大変なご無礼を……」
慌てて膝をつくシャナルだがその姿にむしろミリアの方が焦っている始末だった。
「えっ!? えっと……シャナルさん、ですよね? ここでは私の方が遥かに立場が弱いですし、今言ったことは私も思っていることですから……」
「しかし……」
真面目な性格のシャナルは自分にも厳しい。
たしかに王国が健在ならこのミスは痛手かもしれない。
いや相手がミリアだとそんなこともないのか。
他に四人いた王子王女たち相手なら問題だったかもしれないが……そういえば彼らはそれぞれ地方に散っていたんだったな……今回の件を聞きつけてどう動くかは警戒しておこう。
「私はもともと王国でも役立たずと蔑まれてきた王女ですから。人質としての価値も怪しいくらいです。ですのでただのミリアとして扱ってください。その方がありがたいと、ユキアさんにも伝えております」
シャナルの視線がこちらに向く。
「と、いうわけだから。あ、同性のほうが色々都合がいいと思うしミリアのことはシャナルに任せる。人質ってことになってるけどまあ、自由にしてもらっていいよ」
「えっ⁉ 兄さん! そんな急に……」
「じゃ、ミリアもそういうことで」
「あっ……」
歳が近い同士で仲良くしてもらったほうがいいだろう。
ミリアだってずっと俺たちと一緒じゃ気が休まらないだろうし。
ああ、そういう意味では……。
「エリンも頼むな、シャナル」
「もうっ! ちょっと人の話を聞いてください!」
シャナルが怒ってるがまあそこも含めてミリアとエリンにも頼るとしよう。
正直三人ともたまに何を考えているか読めなくて持て余すからな……。
「さて、どこから手を付けるかな」
改めてレイリックと向き合う。
するとレイリックは笑いながらこんなことを言い出した。
「私に考えがある」
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