第13話 私が皇帝の母になるんだ(牡丹皇妃視点)

「スズラン皇妃様の居所はいつも華やかで賑わいをみせているそうです。20人の侍女たちと皇后様の侍女長だったシンイー様と、近頃では皇帝付きの女官たちも入り浸っているそうですわ。チェン大将軍は度重なる戦で、ダイヤモンド鉱山をいくつも所有地にしましたからね。その財力を存分に使って、毎日チェン家からは珍しい食べ物が届くとかで、それを皆に振るまっているそうです‥‥忌々しいことです」


牡丹皇妃にそう報告するのは、あの下女であった。のっぺりした特徴のない顔は、化粧次第で、どのような顔にも化けられた。ワルダーは影として特殊な訓練を積んできた女であり、牡丹の母親が闇の市で買った工作員だ。


「ふん。ワルダー、あなたは下女のふりをしてスズラン皇妃のところにもぐりこみなさい。信用を得て、ここぞという時に私の役に立てるように」




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私は大将の娘で皇妃の牡丹。お母様はチェン大将軍の正室の妹だ。お母様はチェン大将軍と結婚したかったらしい。

「チェン大将軍は、私と恋仲だったのですよ。けれど、お姉様が汚い手を使って奪い取ってしまいました。お姉様はいつも私から全てを奪っていく性悪な女。いいですか?牡丹?決して、ビャクレンに負けてはいけません。他の側室の誰にも負けてはダメです。後宮で一番になりなさい」


いつも、お母様にいわれてきた言葉だ。従姉妹に負けるな!ライバルは蹴落とせ!だから、私は毒の勉強もしたし、

汚いことも進んでやった。私の邪魔をする女は許さない。


ーーだけど、ビャクレンに妹がいたなんて初耳だわ。今まで、どこで生活していたのか気になるわね。誰かに調べさせないと‥‥皇帝はスズランにべったりだし、むかつくったら‥‥



「明日は、スズラン皇妃様主催の側室をみな集めてのお茶会があるわね?ちょっと、毒でも仕込もうかしら?あははは、いいかもしれない。ちょっとした余興になるかも」


私は、絶対に次期皇帝の母親になってみせる!全ての女は蹴散らして失脚させる。私が皇帝の愛を独占して絶対に世継ぎを産んでやるんだから!


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