第43話思考の迷宮

 とある男、仕事から家に帰ってきて、くつろぐ

風呂に入り、食事を済ませ、こたつに入る


今は晩秋、夜になるとさすがに冷える

緑茶をぐびっと飲みつつ、スマホで音楽を聞く

ショスタコーヴィチ、交響曲第5番をひたすら流す


この男、ネットなどは極力やらない

音楽を聞き、瞑想する。それが唯一の楽しみ


心の声がする

「お前が望むものはなにか?」

男は答える

「それは思考の自由、物事をあるがままに考察すること」

「お前が嫌うものはなにか?」

「それは世に流されること。私は激流をも渡る覚悟だ」

「お前に必要なものはなにか?」

「それは安心、それこそが生きる基盤になる」

「お前はこの世でなにをなす」

「それは、自分自身でありつづけること

流されることなく、自己を完結する。それが私のなすべきこと」


このように、自分自身と対話することで、思考を深める


こたつに入り、お茶を飲みつつ、音楽を聞き、思考する

それがこの男のすべてである


思考の行く果てに、静寂が訪れる

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