第36話とある神様、はしゃぐ

 とある山奥の神社に神様が住んでいた

その神様、普段はな~んもしないで寝転んでいる

とある冬の寒い日。今日も神様は神社の入口で独り昼寝をしていた

そこに、なにやら企んでいる少女がやってきた

この少女、けっこう気が強く、神様がいると噂されるこの神社に来て

神様と勝負を挑もうと乗り込んで来たのである

「たのも~、や~や~我こそは、山里の生まれのミクと申すもの

神よ、我といざ尋常に勝負である!」

少女はそういうと、寝ている神様目掛けて、草履を投げつけた

神様は、めんどくさそうに、草履を手で払いのけると言った

「なんだ~おぬし。神に挑むとはいい度胸じゃな

だが、今私は眠いのじゃ、あっちへ行って遊んでおれ」

少女はニヤッと笑うと、神様に言った

「なんと、神ともあろうお方がこの程度で臆すとは

や~や~、尋常に勝負!」

「もう、しつこいのう。まぁしょうがない。

ちょっと相手をして軽くひねってやろう」

というと神様はむくっと立ち上がり、ニヤッと笑った

「ミクと申す者、私となにで勝負をするのか?」

「それは決まっております。ジャンケンポンです」

「なんと、あのジャンケンポンか。よいのう。私も好きじゃ」

「では、いきますぞ、じゃ~んけ~んぽい」

少女はぐーを出し、神様はパーを出した

「うふふふふ、私の勝ちじゃ。小娘、まだまだ甘いのう」

神様、かなり嬉しそう。よっぽど暇だったのだろう

少女は悔しがると、神に言った

「神様、これは三本勝負です。次は負けません」

「まぁいいだろう。軽くひねっとやるぞい」

「では、尋常に、じゃん~けん~ぽい」

神様はちょきをだし、娘はぐーを出した

「やった~、神様、ちょろい、ちょろすぎる~」

神様、かなりマジメに悔しがる。けっこう負けず嫌いかも

「ミクよ、ちょっと手加減してやったまでのこと、勝負はこれからじゃ」

「じゃ、最後の勝負、まいります。じゃ~んけ~んぽい」

娘はちょきを出し、神様はぐーを出した

「うははははは、ミクよ、ちょろいのう。ちょろすぎるわ」

神様、大人気なく大喜び。けっこうはしゃぐのであった

娘はというと、目に涙をためてこう言った

「あ~ん、神様にいじめられた~、おか~ちゃ~ん」

娘はこう言うと、泣きながら帰って行った

神様、ニコニコしながら、娘に手を振ると、大声でこう言った

「ミクよ、いつでもまた来るがいい、相手をしてやろう」

それからというもの、ミクはたびたびこの神社を訪れ、

けんけんぱ、だの、だるまさんが転んだ、だの、

様々な遊びを神様として楽しんだということである

神様、今日もわくわくして、娘を待っていることだろう

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