第26話大賢者

 昔、昔。とある山奥に大賢者と呼ばれるじいさまが住んでいた

このじいさま、「タマ」という猫と、「ポチ」という犬を飼っていた

この二匹、とても賢かった

ときおり訪れる村人たちにじいさまが助言をする時には必ず二匹は連れ添った


ある時、非常に悩みを抱えた村人がじいさまの元へやってきた

そこでじいさまが村人にこう言った

「村人よ、悩みを打ち明けるのじゃ。さすればタマとポチが解決するであろう」

村人は戸惑ったが、大賢者のいうことは絶対正しいと思いなおし、語りだした

「大賢者様、実はこのところ雨が降りません。それで作物が育ちません

どうしたらいいでしょうか?」

「うむ、そうであるか。では、タマとポチに聞いてみるとしよう

タマよ、ポチよどうすればいいかのう?」

それを聴くと、タマとポチは二匹ともうなずくと一目散に村へとかけていった

村人はあっけにとられていると、じいさまはニコッと笑いこういった

「村人よ、もう問題は解決したようなものじゃ、安心せい」


村人はあっけにとられて、肩透かしを食らったような気がしたが、

大賢者の言う通りだと思いなおし、村に帰っていった

村人が村に帰ると、田んぼや畑にたくさんの猫や犬が集まって騒いでいた。

村人たちがあっけにとられる中、猫や犬は田んぼや畑でやたらと、

おしっこやフンをして回っていた。なんともすごい勢いで。


大賢者に相談に行った村人は賢かった。これは大賢者の言う通りタマとポチが

日照りから田や畑を救うために、おしっこやフンをして、地に潤いを

与えてくれているのだと気づき、他の村人たちに、猫と犬をそのままに

しておくように言って回った


そう、この猫や犬たちは、タマとポチの友達であった

この二匹が号令をかけてたくさんの潤いを地に与えたのだった

こうして、この村は日照りを乗り越え、豊かな実りを得たのだった


大賢者のじいさま、この後村人からたくさんの贈り物をもらい、ほくほく顔

もちろん、タマとポチにもたくさんご馳走を与えたのだった


大賢者はなんでも有効利用してしまうのである。例えそれがフンであろうとも

エコロジー的じいさまの地球に優しいお話であった

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