第24話ひきこもりの空想
とある男、ひきこもりである
ある団地に両親と住んでいる
歳はもう30をちょっと超えるくらいだ
今日も一日パソコンの前で思案している
何を思案しているかと言えば、世界の終わりについて
考えているのである
「コロナ、温暖化、核戦争、世界の終わる可能性は高い」
この男、自分が救われるのは世界の終わりが来た時だと
思い込んでいる
「俺は世の中で何もできない。だとすれば、世界と心中するしかない」
男は自己嫌悪と社会に対する憎悪で心は渦巻いている
ある時、市役所の福祉課の職員が男のもとを訪れた
職員は男に告げた
「あなたは、生活保護になる権利があります。どうしますか?」
男は戸惑った。社会から見放されたと思っていた時に
急に救いの手が差し伸べられたからである
男は喜んでその申し出を受けた
そして男は独り暮らしを始めた
それからというもの、男は社会から守られているということを実感し、
どうしたら恩返しできるかと考えた
男は毎日パソコンの前に座って、恩返しのプランを練った
「そうだ。俺と同じような境遇の者に対して救いの手を
差し伸べることが最優先事項だ。それを恩返しとしよう」
男は「ひきこもりの集い」というサイトを立ち上げ、
そこに訪れる人々に生きるアドバイスをすることにした
毎日、迷える引きこもりたちがそのサイトを訪れた
男はそれまで調べ上げた資料を基に、様々なアドバイスをした
生活保護になる方法や、家族と仲良くするコツなど、
広範囲に渡ってサポートした
それが功を奏して、世の中に引きこもり、かつ自立しているという
者が増えていった。彼自身もそのサイトを収入源として
生活保護から自立した。
そう、ひきこもりに救いの手を差し伸べることで、
その何倍もの社会的価値を生み出すことがあるのだ
とある、ひきこもりの空想は現実となり実を結んだ
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