第20話本屋大賞受賞作
2021年本屋大賞受賞作である「52ヘルツのクジラたち」を半分まで読んだ。主人公の女性は過去に親から虐待を受けて育った。その彼女が同じく虐待を受けている少年と関わることで、過去の自分と向き合いながら話が進む。
話のテーマがとても暗く、ジメジメしたものなのだが、登場時の主人公が妙にさばさばしていたので、その印象が強く、さらっと読めてしまう。
BGMに安藤裕子の「衝撃」という曲を選んで聴きながら読んでいる。とても作品の印象に合う。
ちなみに、私は虐待とは無縁の育てられ方をした。幸せだったと思う。親とは衝突することは多々あったが、致命的な決裂にはならなかった。だから虐待を受けて育った人の気持ちや、虐待をしてしまう親の気持ちが分からない。なぜ執拗に虐待をするのか。この本を読んでいると完全に分からないまでも、おぼろげながらわかる気がした。親は自分の不幸を子供のせいにして憂さを晴らしているのだ。なんとも醜い。子供はそれでも親の愛情に飢えている。なので親を憎み切れない。そこのところが、不憫でしかたがない。
この小説の結末がどうなるか分からないが、著者の人間に対する愛情がとても深いと感じる。そして同時に人に対する憎しみも激しい。こういった愛憎物語を書かずにはいられなかったのだと思う。業深き人間の生きざまを描き切ったこの著者に感服するとともに、私には所詮、こういう深い物語を書ける素養がないとつくづく思った。
まぁ、浅いレベルで淡々と生活するのもいい。人間に対して深く洞察することは、同時に苦しみでもある。そんな苦しみを味わう経験がなかったのは、幸いだと思いたい。今日も安穏に暮らせることに感謝します。
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