5話 雪の花舞う頃

5.雪の花舞う頃 プロローグ

 12月3日と聞いて、なにを思い浮かべるだろう。

 12月2日の次の日?

 カレンダーの日?

 人によっては、1年のうちの、なんでもないただの1日だという人もいるだろう。


 しかし、俺たちにとってはもっともっと大切な日である。

 そう。

 俺・松本鷹雪まつもと たかゆきの誕生日である。

 ありがたいことに、覚えやすい日だとはよく言っていただける。

 ちなみに俺のかわいいかわいい奥さん・亜子ちゃんの誕生日は3月21日。こちらそこぜひ、覚えておいていただきたい。プレゼントはケーキやシュークリームなどなど甘いものだと喜ぶと思う。

 かわいい笑顔を見せてくれると思う。

 口いっぱいに頬張って、幸せそうな顔をしてくれるに違いない。

 ただし、亜子ちゃんのかわいいかわいい笑顔を見ていいのは俺だけだという面倒くさいことも言っておこう。

 面倒くさい男で結構。

 それほどまでに、俺は亜子ちゃんを独占していたいのである。

 自覚はある。

 親バカならぬ妻バカ。


 さてさて、話を戻して。

 今回は12月3日のお話。

 現在からはちょっとだけ、昔のお話。

 俺と亜子ちゃんが、はじめて一緒に旅行に行った日のお話である。

 高校3年生だった俺たちの12月3日。

 行先は長野県松本市。

 かの有名な松本城のお膝元。

 俺が生まれ育った土地である。

 1泊2日の慎ましい旅行だった。


 俺の名前にはいっている、『鷹』と『雪』。


 それを見るために。

 俺にとっては、大切な大切な思い出である。

 亜子ちゃんにふわふわパンチをされたけれど。それもいい思い出である。


5.雪の花舞う頃

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