第3話


「そのノートはお前のものだ」

 正直、もう返してもらいたくないと死に神は言う。拾ったノートに、名前まで書いた奴はお前が初めてだとも言われた。

 僕は死に神リウルから、正式にノートをもらった。


「こんなすごいノートをもらって、何か代償はないのか?」

 魂とか 。そう思って聞いてみると、使用料月20万円だと、思いのほか現実的な代償を要求された。それは、とてつもなく重い代償だった。

 このノートの実用性を鑑みれば、100万円でも安すぎる代物だと思う。

 しかし僕の財布には金がない。 バイトもしてない。お小遣いだけで生きてきた。今さら20万円と言われても、払えるものなど当然ない。


――金がいる。


 ネットでお金の稼ぎ方を検索すると、色々と出てくるが、高校3年生がすぐに月収20万円を稼ぐ方法は、なかなか無い。受験勉強もしなければいけないのに。


 僕は夕飯の席で、両親に聞いてみた。

 夕飯の席には、父さんと母さん、妹の結恵、そして僕の四人が着いていた。


「学生の僕が、月に20万円稼げるとしたら どんな方法があると思う?」

 すると父はこう言った。

「20万? 僕の給料でも、15万だよ」



――父さん



 とても優しくほほえんでくれている、父さん。



――僕は、



受験勉強をしていて、……いいんでしょうか?

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未来ノート 鯨月いろ @kujiraduki-iro

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