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正直な話説明に関しては全く期待していなかった。と言うよりも、俺自身上手く説明できるかわからなかった。

しかし、一体どのような説明をしたのか。聞いても教えてくなかったが、今後も何か説明が必要な時にはメイトに担当してもらおう。


「メイトのことは置いておいてだ、朝夕、ついでに昼にも組合に行ったが特に変わった様子は無かった。何度か話したことのある人もいたが、そいつもいつも通りだったから結論としては俺たちがけがおかしくなったと考えて間違いないだろう。」


いつもの店で食事をとりながら声を抑えながら話す。半日経ち、睡眠以外おかしなところは無かったため完全に落ち着くことができた。今日の夕食は美味しい。


「となると、やはりライブラなるところに行ったことが原因でしょう。問題は、これが何かの不具合なのかそれともこれで正常なのかですね。」


「そこはもう考えてもわからないし、直接確かめるしかないんじゃない?ほら、クラビさんが最後に言ってたじゃない?」


「僕はもうあそこ行きたくないなぁ。」


「なんでだ?」


「だって、あそこゲームっぽくないんだもん。考察のネタを提供してくれるのは大歓迎だけど、そもそもの背景が不明瞭なところに燃料だけ投下されてもあんまり燃えないって言うか、ネタバレだけ出されて問題の内容がわからないって言うか。」


「あぁ、僕もわかります。ああいう話って、わからないところが出てきてから聞くからこそ楽しいんですよね。ピースが嵌ると言いますか、先が一本につながると言いますか。」


「そうそう!わからないどころか、知識0からあんなこと言われても面白くないんだよ!だから、あそことか似たようなところに行くならもっとこの世界について理解してから行きたいんだよ。」


エルとフェルズは話し込み始めてしまった。


「はぁ、こうなると長いな。メイトとストレはどうだ?」


「私は別にどっちでもいいかな。朝はびっくりしたけど、それだけと言えばそれだけだし?」


「それはそうだけど、けど見えてないところでまだ何かあるかもしれないじゃない?そう考えればやっぱりきちんと聞いておくべきだと思うわ。」


「どっちでもいいなら一応行っておくか。エルが行きたくないみたいだから、俺とフェルズとメイトで行こうか。」


「あたしは?」


「あまり一気に詰め込んでも咀嚼できないだろ?俺たちしか問題じゃないんだし、気にしなくていいところは気にしなくていいよ。」


「ちょっと寂しいけどそれもそうね。正直理解はしたけどなんかモヤモヤしてるし。」


「まーまー、別に仲間外れにしてるわけじゃないしね?」


もう俺たちとストレの間には殆ど違いは無いんだ、進んで仲間外れにしようとは考えない。

しかし、知識の差は埋めようと思ってもすぐに出来ることではないので、ゆっくりやって行けばいいだろう。


「それじゃそういうことで。はー人のお金で食べるご飯は美味しい!」


俺たちがメイトのことを過小評価していたのが原因だが、こうもドヤ顔で食われるとかなり悔しい。


「くっそ、メイトはもっとアホの子だと思っていたのに・・・。」


「ちょっとひどくない!?」


「いえいえ、クラビさんの話も聞いているのかいないのかわかりませんでしたし、妥当な評価かと思いますが?」


「そうだぞー!」


「何で私の事馬鹿にするときだけ話切り上げるの!?」


「こちらの方が面白いかなと。」


「私は面白くないよぉ・・・。」


「あたしは正直面白いかな・・・。」


メイトが、裏切られた!とストレの方にギュンと顔を向けるが、ストレは顔を俯かせ笑っている。それを確認し微笑むと、また食事に戻った。


「まー私は心が広いからね!これから見直してくれればそれでいいよ!」


「善処しよう。」


苦笑しながら答える。まるで娘が帰ってきたような感覚だった。


「さて、お前らが話し込んでる間に明日またライブラに行くことになった。エルとストレは留守番だ。と言っても多分一瞬で戻ってくるだろうし、結果次第では暇になるからまた何か依頼でも受けようか。」


「だね。そろそろ懐が寂しくなってきたし、ここで貯めておくのも良いね。」


「他に何かなければこれで解散しよう。・・・何もなさそうだし、今日はこれで。明日はまた10時に石像前で。」


「はーい!ごちそうさまおやすみなさーい!」


「ちょっと待ちなさい!メイトだけで帰っても家に入れないでしょ!あ、ご馳走様!」


「慌ただしい二人ですねぇ。・・・一つ相談なのですが、お二人が宿泊している場所に空きってありますか?」


「確かアルの正面が空いてたよね?」


「確かそのはずだ。こっちに来るのか?」


「えぇ、ある程度固まって居た方が良いかと思いますので。こういう時インベントリにアイテムを入れるだけで良いのは楽ですね。」


「だねぇ。現実でもこんな感じなら引っ越しも楽なのに。じゃあ行こっか。直ぐ近くだよ。」


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