情報収集?
「とりあえず、今出来ることは無いな。」
「そうだね。食欲なんて無くなったけど、昨日から何も食べてないし少しでも入れておこうか。」
頭から飛んでいたが昨日から何も食べていなかったため、二人で一階にある食堂へ向かう。
◇
「朝食は何になさいますか?」
「今日のおすすめを二つお願いします。」
「畏まりました。」
エルがさっと注文する。
「なんでも良かったよね?」
「まぁ食べられれば。正直味なんてもうわからないだろうし。」
すぐに蒸した魚、黒パン、スープが運ばれてくる。昨日の朝は肉だったな、等思いつつ堅いパンをスープに浸して適当に食べる。
昨日の朝食は美味かったから、これも美味いんだろうが味は全く分からなかった。
◇
適当に詰め込んで約束した時間よりも早く集合場所に向かう。
「ほら、やはりお二人も早く来ましたよ。」
「ほら、やっぱり二人とももう来たよ。」
「なんで?ただ単に良く寝られただけでしょ?」
「だーかーらー、寝れること自体がおかしいんだってば!」
三人が何やら言い争っている。内容は多分俺たちが朝体験したことと同じことについてだろう。
「あー、大体僕たちと同じっぽいねこれ。」
「アルさん、エルさん、おはようございます。お二人もですね?」
フェルズが二人を放置してこちらに来る。
「共有の必要はなさそうだな。」
「えぇ、それでこれからですが、一先ずは組合に向かいましょう。」
「何で組合?」
「これが僕たちだけなのか、それともプレイヤーとしてログインしてた人に起こっているのかが不明だからです。もし全体なら、設定としての変更でしょうが、僕たちだけならその原因を考えなければなりませんし、他のプレイヤーに漏らしても良いものなのかも不明です。」
「もしかしたら管理人が俺たちの情報を掴んだ結果が現状かもしれないからな。まぁ、昨日の今日で、更に時間加速しているにも関わらず直ぐに対応できるのかは微妙だが。」
「あーなるほどね。じゃあストレちゃんとメイトちゃんは置いていくべきだね。挙動不審だからすぐ怪しまれる。」
悲しいかな、その通り過ぎて何も言えない。今でさえストレとかなり言い合ってるし。
「残念ながらその通りだな・・・。メイトはストレの家で待機な。」
「まー私いてもいなくても変わらないしね。楽させていただきます!」
「いえ、メイトさんはストレさんにどういう状況なのか理解できるまで説明しておいてください。」
「重要な任務だぞー。今後も同じようなことが起こらないとは限らないからな、可能な限り俺たちの置かれてる立場を共有しておいてほしい。」
「えええぇぇぇぇぇ・・・めっちゃ責任重大じゃん・・・。」
「俺たちの行動方針にも関わるし、メイトもストレももう事情知った以上は抜けてもらったら困るからな。」
「まさか私の退路まで完全に断たれていたとは・・・。」
「え、あたしも?」
「当たり前です。全く、当事者意識を持っていただきたいですね。」
「そうだそうだー!」
想定外のことで焦っていたが、5人集まって話しているとある程度落ち着くことができた。
「さて、それじゃあ行くか。途中までは二人も一緒だから、ある程度共有しながら行こう。」
「は~い。」
◇
軽く説明しながら歩き、二人と別れて組合へ入るがパッと見はいつも通りの光景だった。
「うーん、普通っぽいかな?」
「そうですね。ただ、プレイヤーの見分けが見た目だけではできませんので、そこをどう考えるかですね。」
ゲームによってはプレイヤーだけ名前やレベルが表示される設定になっているものもあるが、ネクストジェネレーションでは最初からそのようなものは無かった。
「難しいな。もし広げてはいけない情報だった場合が怖い。」
「この場で確認することは難しそうですね。しかし、テーブルでの話を聞いている限りでは特に何も起きていなさそうではあります。」
「そこまで混雑していないとはいえ、良く聞き取れたな。」
「集団での会話を聞き取るのは少しコツがあるんですよ。まぁそれは置いておきまして、もし情報共有が難しい人、例えばソロの人などは人の集まる組合で情報収集すると思っていましたので、それが無いという事はそういう事なのかなと。」
「僕も同感。多かれ少なかれ普段と違うことが起きたら話題になるはずだからね。」
「ここにNPC以外がいる前提だけどな。とは言え俺も同意見だし、また夕方にでも来ることにしようか。」
「さて、メイトさんはどれだけストレさんに説明できたのか。夕食で。」
よし。
「「「できていない。」」」
「賭けにならねぇ・・・。」
道具屋に戻り確認したところ、ほぼ完璧に俺たちの事を把握していた。
男三人でメイトとストレに夕飯を奢ることが確定したのたっだ。
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