ゲームとして
「私たちが皆様に託せるのは【希望の芽】だけです。」
希望の芽とはなんだろうか。心構えとかそう言うものではないと思うが。
「何それ?スキル?」
「スキルになる前のシードデータと呼んだ方が正確です。まだ形になっていないスキル・・・そこから何が生まれるかはわかりませんが、無から有を生み出すよりも型を用意した方がスキルの発現が容易になるようです。」
つまり、戦う力を得る可能性の拡張だろう。何が出るかはわからないが、スキルが身に付きやすくなると。
「それは大丈夫なのか?データの改変になるんじゃないか?」
「いえ、これは元々誰もが持っているものであり、成長とともに変動するものですので察知される可能性はほぼ有りません。」
「なるほど。改変ではあるが乱数の値を多少操作するだけ、と言ったところでしょうか。内容的にはチートですねそれ。」
「なんか運営の目をかいくぐってオンラインゲームでチートしようとしてるだけに思えてきたよ・・・。いや、多分ゲームから逸脱してる敵と戦うためなんだろうけどさ、なんかなぁ・・・。」
エルは父がゲーム会社を経営してるからそこらへん拒否反応が強いだろうな。
「ま、ゲーム内のクエストでそういう能力を貰うんだって考えれば良いんじゃないか。一応これだって多少イレギュラーだけども一応依頼だしな。ほら、持ってるだけでレアドロップ率が上がるアイテムとかそんな感じ。」
「そっか、そうだね。内部データをいじるって聞くとどうしてもね。」
「しょうがないさ。で、俺たちはどうすれば良いんだ?」
「暫くは何も起こらないと思われます。皆様に動いていただくのは、世界の更新が行われこの世界の段階が進んだ時となります。恐らくわかりやすい形で何かが発生、例えば新たなダンジョンの誕生や未知の掠種の報告など、どこにいても耳に入ってくるような大規模な変更があった際には最優先で対処して頂きたい。」
ゲームのアプデかなんかだろうか?やはりこれもゲーム内のイベントなのでは?
顔に出ていたのか、クラビが補足する
「皆様はお忘れかもしれませんが、他大多数の方々はこの世界を
餌とセキュリティホールを同時に導入してくるわけか。・・・?あぁ、そういう事か。
「その空けられた
「それがこの世界ともう一つの世界を結び付けてる楔という事ですか。それを一つ一つ解放して回ればいつかは分離できる、そうしたら直接叩けるようになると。」
「理解が早く助かります。現在は不定期に出来る断層からの出現だけですが、それを故意に行おうとしています。それを逆手に取り、普段では到達しえない場所へと攻め込む。そのためには皆様には強くなって頂く必要があります。」
「メイトとストレちゃんはもう理解するの諦めてるっぽいけど、大丈夫?」
「とりあえず強くなっていろんなとこ攻略すればいいんだよね?よゆーよゆー。」
「あたしはちょっともう早く帰りたいかな。帰って寝て起きれば多分大丈夫。」
「大丈夫じゃないっぽいね。結局僕たちはさ、あー、まぁ運営でいいか。運営の敷いたレールを走っていればいいんだよね?ただ、最後は脱線と言うか行かなくていいところまでオーバーランしてぶっ壊すと。」
「俺たちは暴走列車か何かか?だが、そこまでしてしまうと流石に気付かれるのでは?」
「そこは問題ございません。楔にされている存在は、我が主と同等の存在・・・過去に
各地の封印を守るボスがいて、それらを全て倒すことで封印が緩み最終的にラスボスへの挑戦権を得ると。
「いいねぇ、ゲーム的でさ。それならやる気も出るってものだよ。」
「もうここまで来たら吹っ切るしかねぇ気がしてきた。誰も知らないクエストなんてゲーマーとしては燃えるな。」
「僕はまだそこまで考えられませんが、ゴールがあるだけでもあの日よりは生きてやろうと思えます。」
「まぁやることはそんなに変わらないね?」
「あたしは早く帰りたい・・・。」
この世界が一筋縄ではいかないとしても、それでも俺はゲームとして楽しんでやる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます