世界の真実
唐突に告げられた言葉に、俺たちは固まるしかできない。
この世界を破壊してくれとは、どういう事だろうか。ゲーム的に考えるならばどちらかと言うと敵側の思想であることは明白だが、声からは真摯な思いが伝わってくる。
「・・・どう思う?」
「ストーリーに関わるイベントだとは思うけど、どの視点から来たものなのかわからないからなんとも。」
「これからの方向性を決定付けるのは確かだと思います。ただ、安易に選択しては取り返しがつかなくなるかと。」
「それについては俺も同意見だ。メイトとストレにも聞いてからじゃないとだな。・・・一つ尋ねたい、今回答しなければならないのだろうか?」
先程の声に聞く。
『この瞬間に返答を貰えるとは思ってはいない。汝ら集で生きる者達は個の決定だけで意思の統一はできないのであろう。』
「その通りですし、判断の材料も全く足りておりません。可能であるならば、どのような理由があるのかもお教え願いたい。」
フェルズが重要なことを確認してくれた。
『それは我々も承知している。先ずは中へと入るが良い。』
そう言うと正面の門が
「神殿の中に教会?あそこに行けば良いのかな?」
「どうだろう、これも罠の可能性も捨てきれないけど、ここにずっととどまってるわけにいかないのも確かだし・・・。」
「とりあえず行ってみよう。」
「そうですね。何が起きても大丈夫なように気を付けながら進みましょう。」
俺たちは教会へと足を進めた。
◇
教会の扉は既に開いていたため、各々いつでも戦闘に入れるよう準備しながら中へと侵入する。外見は一目見て神殿かと思ったが、内部には円卓が鎮座しており会議室のような印象を受けた。
『それぞれ席に着いてくれ。』
声に導かれるままに適当な席に座る。すると俺の対角に位置する席に光が集まり、人のような形に収束した。
「これより先は
高いようで低い、性別の伺い知れない声が光から聞こえた。
「
「それについては了解した。それで、説明をしていただけるそうだが?」
「えぇ、これからの話を聞いていただき、判断していただければと。それでは、大前提となる情報を。皆様・・・ストレ様以外はこの世界を
無言。ゲームではないと言われても、それが
「その証拠はまた後程お見せいたします。この世界が成立しておよそ8000年、今に至るまで絶えず侵略の脅威と戦ってきました。皆様も理解たと思われますが、それが掠種と呼ばれる生命体です。」
確かに掠種との戦いは過去からずっと繰り広げられてきたと聞いている。しかし、何故なのかは終ぞ知る人物はいなかった。
「それと今の説明に一体何の関係が?聞いている限りですと全く関係のないように思えるのですが。」
「それはこの世界が生み出された理由に関わってきます。太古の昔から、掠種の侵攻と戦っていたのは〈地球世界〉に住む者たちでした。しかしある時、突然にして戦う力が失われた。それは世界を管理している神が死んだとも、人々が神と決別したとも言われておりますが、侵攻を防ぐ事が出来なくなったことには変わりありません。このままでは瞬く間に侵略され敵の手に落ちる・・・そう考えた人々は、最後の力を使い〈地球世界〉に似た世界を作りました。規模は小さいながらも全ての力を注いだ新たな世界は、掠種から見ても〈地球世界〉よりも侵攻する価値があると思えたのでしょう、標的がそちらへと移ることとなります。その世界がここ、〈皇堂界〉です。それより後は皆様もご存じの通り、掠種との戦いの舞台はここへと移りました。」
「・・・何と言うか、途方もない話だね。それを聞いて全て納得しろってのは無理だよ。この世界を破壊ってのも良くわからないし。」
「なんと言いますか、それを僕たちに頼むのは無理筋だと思うのですが。もしもその話が本当だとして、この世界を破壊したならば次標的にされるのは僕たちの世界ですよね?むしろ破壊は悪手です。受けられるわけがありません。」
「まぁ、そうだよね。私だってまだ死にたくないし、そもそも地球に転生するためにここで戦ってたわけだし?」
「・・・」
ストレは何も言わない。理解が追い付いていないだけかもしれないが。
「それで、俺たちの回答に対して何かあるか?フェルズの言った通り、俺たちが頼みを聞く理由は無く、むしろお前たちの方が俺たちの目的から敵対位置にいると思うが。」
「それについてもお答えいたします。皆様に転生なる選択肢を示した存在こそが掠種です。その目的は、皆様を
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