先を見据えて

「なんだ、案外余裕だな。」


「そうだね、まぁ表示されてた難易度も低かったし、これくらいが今の僕らなら適正かな。」


しかし、まだ亀裂は残ったままだ。


「これってどうすりゃ消えるんだろうな。直接攻撃とか?」


「時間経過か、もしくは・・・。」


ボスの撃破。


「いやでも、流石にこんな始めのうちからボスなんてでるかぁ?」


「ま、可能性の一つとしてね。亀裂の付近まで行ったらそのままクリアってことも十分考えられるし、行ってみようか。」


俺たちは亀裂の方へと向かって歩き出す。


「ドロップはどうだった?見た感じ素材が落ちるだけで、アイテムとか金は落ちてないんだが。」


「僕の方も同じかな、牙とか爪とか毛皮とか。これ使って装備作ってもらうんだろうねぇ。」


「後は買取とかもしてくれるんじゃないかな。」


「そっか、それもあったね。戻ったら確認してみようか。」


「そろそろ亀裂の近くだ、何があっても対応できるようにしておこう。」


武器を構えて亀裂に近づく。


「・・・特に何も起きないな?いや、亀裂が消えていっている・・・?」


「少しずつだけど薄くなってるね。もしかしたらさっきから消え始めていたのかもね、遠くて確認できなかっただけで。」


「かもしれないな。さて、じゃあ後は村長に報告すれば依頼完了かな。」


亀裂が完全に消えたのを確認し、村へと歩き始める。


「そういやこれってどれくらいお金出るの?」


「1400シリルだってさ。高いのか安いのかも分からんし、この世界の物価も知らないから妥当なのかも分らんな。」


「ゲーム内の報酬だし、異様に低いってことはないでしょ、多分。」


「そうだと良いな。物価とか、宿屋の代金とかも帰ったら確認しないとな。それでどれくらいの間隔で依頼を受ければいいのかわかるだろうし。」


あんまり毎日依頼ばかりってのも面倒だしな。


「けど、しばらくは装備とかアイテム揃えるために依頼漬けになるんじゃないかな?ほら、動物由来の素材だけじゃなくてさ、鉱石とかでも装備は作れるだろうし、そういうのが報酬の依頼も探せばあるんじゃない?」


「武器は鉱石の方が良さそうではあるな。今使ってるのもそうだし、とは言え序盤からそこまで強い装備を作れるとは思わないから、拡張性が高いのを探した方が良いか。」


「そうだねぇ。システム的にあるのかはわからないけど、例えば上位の素材を使えば強化できる武器とかだと今後も腐らないもんね。」


「エルは防具の方が重要だな。それもやっぱり堅いとなると、鉱石かな。革は衝撃に弱そうだし、そこらへんも多分工房みたいなところで確認できるだろう。」


「そもそも作ってもらう必要もまだないかもね。店売りの物もあるだろうし、余裕が出来るまではそっちで良いんじゃない?」


「・・・それもそうだ。オーダーメイドなんてどのゲームでも中盤以降だよな。」


「そうそう。効率良く進めるのも良いけど、それだけを追うようだとつまらなくなっちゃうからね。楽しむことを一番に考えてやって行こうよ。」


いつの間にか村のすぐ手前に着いていた。

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