『おかし□はなし』
原案:蜜売家偽薬
文章:蜜売家麻薬
子「お母さん。チョコレート買って!!」
母「もう!!いつも言ってるでしょ。おかしは、食べちゃだーめ。
子「うむぅ……なんでおかしを食べちゃいけないの?」
母「うーんそうねぇ。チョコレートなんかはとっても強くて怖い毒だから、噛むととっても歯が痛くなって、口の中が溶けてしまうかも」
子「でも、とってもいい匂いがするよ」
母「それはね、チョコレートが人間をいい匂いでおびき寄せて、捕まえて、殺してしまうためなんだよ」
子「そうなんだ……とっても美味しそうなのに……」
母「はーちゃんはいい子だから、絶対に食べちゃダメよ。いい?」
子「もう何回も言われてるもん。わかってるよ」
母「絶対によ」
子「分かってるってば……でもお母さん。なんでわたしだけチョコレートを食べちゃいけないの?」
母「どうして?」
子「だって。この前、おうちのゴミ箱にチョコレートのゴミが捨ててあったよ」
母「そ、そうなの?」
子「誰が食べたの?お母さんが食べたの?お母さんじゃなかったらお父さん?それともお姉ちゃん?」
母「見間違えじゃない?」
子「ううん。スーパーとかコンビニで売ってる板チョコのゴミだったもん。わたしはいつも触っちゃダメって言われてるから見てるだけだけど、いつも食べたいなぁって見てるから知ってるの。食べたら口が溶けちゃうんじゃないの?でも、チョコの袋のゴミがあったってことは、誰かがチョコ食べたってことでしょ?どうして?」
母「……ごめんね。はーちゃんにはまだ言っても分からないと思って言ってなかったのだけど……チョコレートはね、子供を殺してしまう毒があるの」
子「……言ってることが違うよ」
母「ずっと隠してたの」
子「……わたしが子供だから食べられないの?だったらお姉ちゃんも食べれないの?」
母「お姉ちゃんはもう子供じゃないから」
子「子供って何歳までなの!?お姉ちゃんは10歳になったからもう子供じゃないの?だったらわたしもあと3年経ったらチョコレート食べられるの?」
母「……いつか、いつかね、ちゃんと分かる時が来るから」
子「……いつか、チョコレート食べれる?」
母「今は食べちゃダメ」
子「うん……」
子「あんなこと言ってたけど絶対に嘘だ。みんなでわたしにお菓子食べさせないように隠して、仲間外れにしてるんだ。ひどい。ひどい。……へへへ。だからみんなこれ見たらびっくりするだろうな〜。お母さんがレジ行ってる間に取ってきちゃった〜チョコレート〜♪えへへ……あむ。あむあむ。……!!甘い……!!美味しい……!!ほら、お母さんの嘘つき。わたしにチョコレート食べちゃいけないって言うくせに、みんな隠れてこんな美味しいもの食べてたんだ。ずるい、みんなの大嘘つき!!美味しい!!」
母「はーちゃん!?何してるの!?」
子「お母さん!!わたしチョコレート食べたよ。こんなに美味しいもの、なんで食べちゃいけないって言ってたの?こんなに美味しいとは、思ってなかったよ!」
母「はーちゃん、そんなに掻いちゃ駄目!!」
子「だって痒いんだもん……」
母「どこから持ってきたの!??駄目でしょ!!!」
子「あああ!!げほ、ねえ、返して!!わたしのチョコレート!!わたしが食べるの!!」
母「エピペンを!!お父さん!!遥がチョコレート食べちゃったのよ!今身体中に蕁麻疹が……鼻血も出てて!!早く!!早くエピペンを持ってきて!!」
子「えぴぺん……って、美味しいの?」
母「喋らないの!苦しいでしょ?」
子「まだチョコレートに慣れてないだけだよ」
母「遥、遥!!しっかりして!!」
子「チョコレートの毒に慣れたら……すっごく美味しいんだろうなぁ。だってチョコレートは、死ぬほど美味しいもの」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます