第2話 ステータスの存在と魔力の汎用性

「な、なあ、俺たち戦うのか?」「俺、死にたくはない。」

「私、非戦闘員なんだけど?」「心配するな、俺が戦ってやるよ‼」「もう帰りたいんだけど?」「うわっ、ここ電波ないじゃん、もうサイアク―」

周りがざわざわし始めていた。それもそうだ、いきなり異世界に連れてこられて、『世界を救え。』なんて言われればそうなるのは当然だ。

「なあ、王女様。ちょっと質問いいか?」

それは、うちのクラスのリーダ的存在である、不合有宇宙ふごううそらが切り出した。

「もちろんですとも。あなた方にはこの世界を救済していただかなくてはいけないのですから。」

「そりゃあ、ありがたい。なあ、この世界を救済して、が有んだ?」

周りが沈黙した。

「そうですね。元の世界に帰ることができるということくらいですかね。」

「なんだ、それだけか。なら俺はこの世界を救う気にはならない。」

「そうですか、残念です。ですが、もう一つ申し上げるとすれば、このの生存の保証くらいはできますよ。」

「は?それってどういう意味だ‼」

「もちろん、そのままの意味です。あなた方は理解した方がいいのですよ。この世界に来た時点で、ということに。」

王女が手を上げると、衛兵が王女のもとに駆け寄ってきた。そして、王女が不合有を指さし、

「あの場所に連れて行きなさい。」

「王女様、この者を本当に連れて行くのですか?」

「ええ、もちろん。戦意がないものには消えてもらいます。」

「わかりました。おい、そこの者を捕らえて、屋上に連れて行け。」

「「はあっ‼」」

不合有は、両腕をつかまれた。

「おい、離せよ‼おい、おいってば‼」

「我々は、王女様の命令に従うまでです。」

「はあ?それってどういうことだよ。それじゃまるで奴隷じゃないか。」

「黙れ‼罪人に発言権はない。大人しくしていろ。」

「うるせぇ‼放せっておい‼なあ、一ヶ嵜、助けてくれよ、友達だろ?」

「すまない、俺はお前のような人にすがる奴と友達になった覚えはない。」

「この人でなしがぁ‼ねえ、秋坂さん、助けてくれないのかい?」

「私、あなたと関わったことないから、あなたのこと知らない。私に助けを求めないで。自業自得よ。」

「そ、そんな……、あんまりだ……」

その一言によって、不合有は絶望していた。

そして、大広間から連れていかれた。


「ちょ、なんだよこれ、何する気だお前ら、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

そに悲鳴は、城中に響き渡ったことだろう。






「さて、意味の分かってないわからずやがいなくなったことですし、皆さんのステータス確認と、ステータスインストールを行いましょうか。」

「ステータスって最初からあるもんじゃないのか?」

「いえ、一ヶ嵜様、ステータスは、世界をまたぐ際、別次元に保存され、こちらの世界に来てからインストールする必要があるんですよ。ですが、例外があり、一度死んでいるものや、まだ死んでいないが、未来の人物などは、そのままステータスを持ち込むことができます。ちなみに、あなた方の世界は、元から、インストールできない世界のようですが。」

なるほど、この世界に来て、初めて能力を知れるのは、インストールが終わってからか。俺のも保存されているのか?

とりあえず、インストールするしかないのか。

「じゃあ、インストールの方法を教えてくれないか?」

「もちろんですとも、ただし、先に、こちらの契約を先に済ませてしまいましょう。」

「……契約?」

「皆様、目を閉じてください。」

俺は、全員が閉じ終わってから目を閉じた。

「契約

この契約を裏切れば、この者の魂は滅ぼされ、二度と転生できなくなるだろう。

1.戦いからは逃げない。

2.私を裏切らない。

3.私に能力を使わない。

4.仲間とは協力すること

5.死は、自己責任

6.この世界を救うことができれば、あなた方を元の世界に返す

この契約は、破ることはできない。以上のことを待ることを誓わせる。

                            」

「「この契約を誓わされます。」」

返答の仕方おかしくないか?しかも強制で誓わされた。

「では皆様、目を開いてもらって結構です。」

俺たちは目を開いた。

「では、ステータスのインストールをしましょうか。」

「とりあえず、番号順にしてきましょうか?」

先生が答えた。

俺は後の方がよかったので、後ろの番号順に行くことになった。

「おお、俺、聖剣使える。」「私、全属性の魔法が使える。」

「俺は、暗殺者か。」「私はクノイチ?」「俺はシノビだけど、俺と変わらないんじゃないのかな。」「俺は、剣士か。」

などという声が聞こえた。

ついに、俺の番が来た。

「では、一ヶ嵜様、この水晶にお触れください。」

「ああ、了解した。」

俺は、水晶に触れた。水晶は、他の者達とは違い、光が強かった。

「はい、では、一ヶ嵜様のステータスのカード、三枚ですね。」

「あ、ありがとう。」

「では次、秋坂様、この水晶に触れてください。」

「はい。」

俺は、秋坂のステータスインストールを隣で見ていた。

「はい、離してもらって構いませんよ。こちらがステータスカードです。」

「ありがとうございます。」

秋坂は受け取った。

「あら、一ヶ嵜君、一緒にステータス見ない?」

「ああ、いいけど、俺、三枚あるぞ?」

「そう。私は一枚だけど、どうして差があるのでしょうか?」

「まあ、心配いらないさ。俺は、向こうの世界でもいろいろやってきたからな。」

「まあ、そのうち聞かせてもらうわ。じゃあ、私のを見て。」

「あ、ああ。」

俺はステータスカードを受け取った。

「何々、性約の剣 契約した者の剣として戦うことができる。己を強化する方法は、契約した者との関係を深めていくこと。か、なんだこの能力。」

「意味わからないからだと思うけど、私は、契約するなら、あなたとしか契約したいと思っているわ。」

「そうか。……は?なんで俺なんだよ。」

「だって、私、あなた以外と仲良くないもの。」

菜にその可愛い反応、惚れちゃうんだけど。いや、もう惚れてんだけど。

「わ、わかった。じゃあその契約、受けるよ。」

「わかったわ。じゃあ……」

秋坂は、俺の方を向いて、小指を立てた。

「契約の指切り、しよ?」

やばい、可愛い。こんなの、

「ああ、契約するよ。」

俺は、小指を絡ませ、

「指切りだ。俺は、お前のために、この世界を救う。」

「なら私は、あなたの剣として、この世界を救うお手伝いをします。」

彼女は、最高の笑みで答えてくれました。

ああ、最高だ。この笑顔を守るために、この世界を救うともう一度心の中で決めた。

「ところで、あなたはステータスの確認をしなくてもいいの?」

「ああ、俺は、順応の剣士という職名で、どんな武器も使うことができる剣士だよ。スキルは、衝撃変換リカバリーヒールという能力だよ。怪我をすると、怪我した部分の衝撃で傷を回復、痛みを魔力に帰ることができる能力だよ。」

「そう、私は成長していくとスキルを身に付けることができるようですよ。」

「わかった。今後に期待してるぜ俺専用のパートナー

「私の方もよろしくね、私の剣士パートナー

こうして俺と秋坂は、指切りを契約として二人でワンセットとして戦っていくことになった。

だが、俺たちこれから、最も大変になることを知らなかった。

すでに、第一の魔王が、この国の少し先に、魔王城を築いていることを、知るのは13日後になることを、まだ知らない。

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