二回目の、結婚記念日
夫との二回目の結婚記念日がやってまいりまして、このご時世、いろいろと気をつけながらですが、先日、すこしだけ外出してまいりました。
とはいえ、やはり飲食店に長くはいられなかったので、早めに出ることになりまして。
私と夫は結婚前から「話し合いができる」ことにかんしてはそれなりの自負をもっており、重視していると思います。
それまでの人生は当然ながら、別々の環境で暮らしてきたわけで。かならずしも、どちらがいいとか悪いとか、正しいとか間違っているとかではなくて(まれに、そういう場合もありますが)、単に「違う」ということは、いっぱいあります。結婚しているかたには、そんな当たり前のこと、わざわざ言わなくてもと呆れられてしまうかもしれませんが。でも、お互いの違い、それによるちょっとした、でも暮らすにはそれなりに大きなことを、もやもやと曖昧に溜めておくよりは、はっきりと言葉にして、話し合うべきだと。すくなくとも私はそう思いますし、夫ともそうしてきている、と思います。
そんななかでも、結婚記念日、というのはおつきあいをはじめた日なのですが、その日付のときには、普段はなかなか言えないもしくは言わないようなことも、話すようにしております。
そういうわけで今年も話をしていたのですが、なにせ飲食店はすぐに出なくてはで。ぜんぜん、まだ、話すことがあって。ではどうしようとなったとき、電車に乗って帰るのではなく、歩いて帰ることにいたしました。けっこうな距離があります。そこをふたりで、線路沿いに、てくてく歩いていきました。そのなかで、話をしてゆきました。
ちょっと寒かったですけれど、すごい凍えるというほどではなく、適度な空気の冷たさと空気のなかで、たくさんの光を見ながら、今年もいろんな話ができました。前を向いたり、たまにはちょっとだけ後ろを向いたり、あるいはなんだか変な方向を向いたりして。
夫とこのように歩くのは、はじめてではなくて。たとえば先日にも飲食店を出てからずうっと、やはり線路沿いに、歩いたりしました。やはり、道路や車の光を感じながら。ずっとずっと、話が落ち着くところに落ち着くまで、数時間単位で。
思えばつきあったときにもそのときふたりで行っていた居酒屋から出て、夜の、踏切や歩道橋のある道を歩いたりして。それでやっと、つきあおうってことになったのでした。あの日も、たしかに寒かった。十二月だったのですよね。
いろんなことを、しゃべって、しゃべって、しゃべって……これから、あるいはこれからも、こうしていこうね、という話をできて、今年もほんとうに、よかったと思っていて。
私は、だいたい話したいことは話せたあとに、彼にこう言いました。
「学生のころは、こうして無駄に歩いたりとかよくしていたけど、大人になってもこういうことできるとは思わなかったし、そういうことできるきみと結婚できて、よかったよ」
実際に彼に、そのように伝えました。
それは、ほんとうに、心底、本音だなあと思います。
ただ、歩いて話すだけで、あんなにも特別な時間を過ごすことができるってことをなんだか、これからも忘れずにいたいです。もういい加減、ふつうに大人ですので、それはそれなりに出かけたりしたいですし、多少はしていますけれど、それはそれってことで。線路沿いの夜の散歩。また、したいです。なにか目的をもって、あるいはとりとめもなく話しながら。
その日はごはんを食べて歩いて、だけではなく、その前の段階としていろいろとあったのですが、そちらもほんとうに楽しかったです。すっごい、めちゃくちゃ、楽しかった。夕焼けが、とてもきれいでした。月も、とてもきれいでした。この街でこのひとと生きていく。こうやって、これからも。
それをまもるために、では自分はこれからなにをしていくか、なにができるのか。そういうことを決断できるというだけでも、「子ども」の時代はきっぱりと自覚的に終わらせ、「大人」になれてよかったなあと思います……ただ、とはいえ、「大人」としてはまだまだひよっこ。未熟であることが苦しいときも多いのですが、腐らずに、着実にやってゆきたいです。あと、謙虚に。夫がいてくれることですのでね。そうやって生きてゆきたいと、あらためて確認できた結婚記念日でもあったのでした。
(2020年12月18日 16:42)
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