第十五話 孤独と自立3

高校進学でも母に苦労をかけたかもしれない。入学式に来ることはなかった。


そして、期末考査が終わって夏休みまでの一時期、友人たちも皆部活動に忙しいのか食事が終わるとそそくさとどこかに消えていく、というかどこかよそよそしく休日も皆いつの間にかどこかに消えていた。


ふざけんじゃねぇばばぁ!


寮の公衆電話でロビーに響く声を荒らげる下級生の声にも羨ましさを思いながらもどこか寂しさを感じた。



そんな時、学校から一人戻ると、同室の一人が、早く着替えろという。四人に肩を組まれて学年のリクレーションルームに行くと待ち構えたように誰もが誕生月おめでとうと言った。誰かが2リットルボトルのお茶を取り出し皆で乾杯をしようという。飲食禁止だがお構いなしにそれぞれ誰かの歯磨きコップにお茶を注ぎ始める。


同室の三人が手提げ袋を渡してくれた。なにか心が痺れるような感覚が沸き上がりどうしていいのかわからない。中に女子からの手紙が入っているから読めという。封筒を開け目を通すとどうしてこんなにしてもらえるのかわからないまま少し涙が滲んだ。そして中身を取り出して驚いた。いつか皆で行ったイオンのスポーツ用品店で欲しいなと思ったパーカーだった。


今でも忘れない


“ Life can be wonderful, if you're not afraid of it. All it needs is Courage, Imagination, … And a little dough ”


と書かれたメッセージ、ゴールデンウィークの度に一緒に過ごす友人が毎年増えてきたこと、懐かしくも皆と乗り越え深めてきた心のつながり……家族みたいに………。

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