第四話 唐津学習

ゴールデンウィークが終わり少し経った頃、学校の行事で曳山展示場に行った。入った途端、荘厳に立ち並ぶ曳山のあまりの迫力に友達と圧倒された。真下から見上げると華麗な装飾もなにもかもほんものであることがよくわかった。先生の話しでは江戸時代からの曳山もあるようだ。ホゲーとしながら洟が垂れるのも忘れていつまでも眺めていた。


それからは、勉強そっちのけで図書室で曳山について調べた。唐津と曳山の歴史、休日に歩く街中に残る町名と今でも息づく曳山との関係。刀町が赤獅子、中町が青獅子、京町が珠取獅子だがなんといっても本町の金獅子だ。そして大好きな魚屋町の鯛と全部で14台の曳山がある。どれも自分の地元の神輿と桁違いだ。本当に秋のおくんちが楽しみだ。


夏休み前にママが来るときに全部の曳山を自分が説明しようと思う。きっと驚くに違いない。




三者面談の前、こっちに来てくれたママを喜び勇んで曳山展示場に連れて行った。ママも圧倒されたようで本当に誇らしかった。鯛が大好きなんだと一番渋いところを話そうとすると二人連れの外国人がスマホを出してきた。ママは、写真を取ってあげるといろいろ楽しそうに話している。すると僕に英語の勉強を始めたのだから自己紹介ぐらいしなさいと言った。


普段に外国人と話すのは生まれて初めてだ。緊張した。どうして曳山を見に来たのか知りたかった。勇気を振り絞って声をだした。


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