エピローグ
大きな入り江から水平線に浮かぶ島々が見える。桟橋の突堤に腰掛けながらどうしてこんな場所にいるのかわからないどこに行くべきなのかどこへ帰るべきなのか思い悩み混乱する自分がいた。
ここはどこなのだろう。…………そうなのか…………夢を見ているのかもしれない。
でも……なんて優しい風景なんだろう。
続く浜には、誰もいない。静かにさざ波がよせている。大きな帽子の形をした島は確か高島だった。鳥島が重なると何かを思い出せるような気がした。西風が吹き遠くにいくつかのヨットが帆走している。その先には汽笛をあげる大型客船が入港してくるのが見える。
夕暮れが近づき海岸線に遠くまで微かな灯りが点り始めるがどこまでも人影のない静かな岸辺が続いている。感傷の予感に何かが心に灯るのを感じていると背後から声がした。
- 静かな海だね。
足が長く体中で日焼けしたような女の
水平線に近づく夕陽が世界を紅く染め始めていた。
-君は、ここに住んでいるの?
- ………………いや ……僕、
………僕は、どこにいるのか分からないんだ。
- …………わたしは、〇〇〇Republic(共和国)という国を探しているの。
ようやくたどり着いたのがこの海辺の町だったの。こんなに懐かしさを感じる
町に出会ったのは ……久しぶりなんだ。
僕が水平線に目を戻すとなんだか横に立つ彼女は海に向かって大きな声を放った。
- 私が帰るべきその国はぁ~、お父さんがいる国なんだぁ。そこに辿り着くことを
ずっと願って探しているんだぁ~。
お父さんの国? ……僕は、……僕がいられるところを見つけなければならないんだと再び水平線に目を向けた。
- そうか、そうなんだ、それじゃ、グッドバイ
その
海に沈む夕陽に目を戻すとヨットハーバーから沖に滑り出す一艘のヨットが帆を張り始めた。夕陽を受けて徐々に風を
〇〇〇Repubric 2010JA
驚きはっとしてさっきの
そのとき僕が帰るべき場所は、ここなんだと気がついた。ここは、星の王子さまたちと過ごした世界で一番美しくて一番悲しい星だったことを思い出した。
もしここで子供が話しかけてきてその子が質問をしてもうまく答えられないようであればそれはきっと僕であるに違いない。
八太郎館物語Ⅱへと続く...
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