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「素敵でしょう?」
あまりにも相応しくない言葉が聞こえてくるが、反論しようにも頭が回らない。
あまりにも乱雑に落とされた部品。それでいて未だ人間の形をしている本体に、むしろ安心すべきなのかもしれない。だが、そんな身体は操り人形のようにふらふらと動いているのだ。
ホラー映画か、残虐な集団がこんな事をしたりするのか。少なくとも、素敵な風景だとは、口が裂けても言えやしなかった。
結局、自分がこの世界に適応するのは諦めるべきなのだ。
ただ今は、状況を把握することに必死になるべきなのだ。
目を擦る。
彼らは人間だ。
当たり前だが、身体の機能とか状態とかで人間を判断している訳ではない。彼らは、幸せそうに見えないことを除き、行動も仕草も、1人として同じではない。
何処かがもぎ取られているだけで、実際は人間達を遠くから眺めているだけ。
どうにか導き出した状況、そしてボクへのフォローによって、ようやく少し落ち着きを得た。
きっとこの結論も相応しくないものだが、そんな事を気にするだけの冷静さも、自我も、不安も無かった。
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