36.勇者が剣を振るい決着がつく
マッピーは深くため息を吐くと。
固まったままのミミックに絡み付く触手に触れて、囁いた。
「テンタクル。できるだけ壁から離れてください」
下手に声を出せぬテンタクルは、音もなく壁のひび割れから部屋の中へと戻っていく。
それを見届けたマッピーの手には、鞘に収めたはずの剣が握られていた。
ミミックの隣に立ち、向くは瓦礫と化しつつあるひび割れだらけの壁。
いや、もっと視野を広く。
下段に構えた剣先は、とうとう地面から定めた狙いどおりの方向へ。
マッピーには経験に裏打ちされた自信があった。
伊達に頭カラッポにして何年も鍛練に励んできたわけではないのだ。
背中に浴びる強烈な光の熱も、視界を隔てる壁も、しんと静まり返る。
刃は閃いた。
最初に風が一陣、次は肌を刺す空気の流れ。
無理やりずらされた空間は振動を生み、弧状に押し寄せる衝撃波へと変わる。
刹那。
剣の達人が放った斬撃は、全てを斬った。
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