第5話 終



ふわふわと昇っていく感覚がある。



眼下では死んだはずの自分の肉体が動き、追っ手を一掃し、再び道で立ち塞がってくれているのが見えた。


これは主殿を思う自分へと贈られた、ひと時の神の奇跡だったのかもしれない。



これならば、主殿は無事に逃げきる事が出来るはずだ。


そして主殿ならば、必ずや再起してくれると信じている。


すでに手伝いは出来ないこの身成れど、願わくばこの神の奇跡が主殿にも贈られ、見事怨敵を討ち果たしてもらいたいものだと思う。



『義経様…弁慶は先に天にてお待ちしておりまする…ご武運を…』





そして雪の降る薄暗い空へと、二つの魂が絡まる様にふわふわと昇っていくのだった。







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BEN-K 更楽茄子 @sshrngr

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