第37話 立花 恭兵からの依頼
「人探し?また?どんな人を探しているの?」
少年の言葉に、立花恭兵は内ポケットから写真を取り出して少年に見せた。
そこに映っていたのは、ヒロよりもさらに若いと思われる少年。
おそらくは幼稚園か小学校1~2年生。
Tシャツに半ズボン。
ちょっと栗色の髪の普通の少年だ。
「うーん、見たことないね。純子さんはどう?」
少年は写真を少女に渡す。
「見たことない」
少女も同様に答える。
少年は写真を少女から受け取った後、恭兵に返した。
「警察には行ったの?」
恭兵は首を横に振った。
「どういった関係の子なの?」
「それは言えないんだ。守秘義務というやつでね」
恭兵は答える。
「まぁ、この子を見かけたら教えてくれよ。頼むよ」
少年はその言葉に首をかしげて言う。
「おそらく、恭兵さん以外の探偵さんたちにもたくさん依頼されているんだろうね。
成功報酬ってやつで。たぶんかなりの金額だろうね?」
そして、ニッと笑って言う。
「しかも、あまり表立って調べられないとかね」
ポカンとして、恭兵は口をあんぐりさせる。
「図星みたいだね」
はっと表情を戻して、恭兵は言った。
「まぁ、見つけたらお礼はするから・・教えてくれよな」
「期待しないでね」
少年はキシシと笑って言った。
恭兵が去って行ったあと、純子は少年に言った。
「胡散臭い話。なんか怪しい」
「そりゃそうだよね、行方不明だったら警察に行けばいいんだから」
少年は交差点を見ながら言う。
「たぶん、表立って探せない理由があるんだろうね。
きっと、胡散臭い理由が」
少年は、フッとため息をついた。
こんな話は、大体ろくなことになったためしはない。
関わり合いにはなりたくないんだけどなぁ・・・
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