第6話 閑話 松下 奈美の気の迷い

「こんにちわ、奈美さん」

「こんにちわ、ヒロくん。今日もいるのね。」

松下奈美は昼ごはんを食べたあと、交差点に来た。

ペットボトルの日本茶を持ってきている。

手すりの上の少年とは顔見知りだ。


この少年に、付き合っている彼氏が何股もかけているクズだと教えられて、手を切る事ができたので感謝している。

「ところで、人を探してるんだっけ?」

「うん、そうだよ」

少年は、交差点を行き交う人々を見つめている。

”あ・・・まつげ長い。肌もきれいね・・”

「ちなみに探している人って、どんな人?お姉さんにも教えてよ。協力できるかもよ。」

少年は困ったように苦笑して・・・

「名前は”洋子”だそうだよ。」

「名字は?」

「知らない。」

「マジ・・」

「年齢は中学生から高校生くらい」

なにそれ

「東京に住んでるはず。」

「写真とかは?」

「無いよ」

「他には?」

「他には・・なにもないかな。」

「え〜・・会ったことはあるの?」

「無いよ。友達が探してるのを手伝ってるんだ。」

なにそれ・・・何もわからないと一緒じゃない。

「なんで、ここで探しているの?」

「だって・・・中高生で都内に住んでる女の子は1回はここに来るんじゃない?」

いや、そうかも知れないけど。

ものすごく、低い可能性にかけているんじゃないかな?

「そこまでして探したいの?」

「うん。大切な親友の願いだからね。」


きゅうん・・とした。

一途だ・・・


思い返せば、奈美のいままで交際した男はろくでもないのが多かった。

暴力を振るったり、ヒモになろうとしたり・・・・二股どころでなかったり。


少年の顔を見る。

整った顔。きれいな肌。まつげの長い涼やかな眼差し。

これは・・・将来イケメンになりそうかも。



年齢差は・・・10歳ちょっとはあるけど・・・


「ち・・・ちなみにヒロくんは彼女とかいるのかな?」

「彼女?・・・いないけど?」

”年上ってどうかな?”って聞きたかったけど、踏みとどまった。


松下奈美25歳。

ショタにちょっとだけ興味が出てきたのだった。

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