第3話「記憶の濃い部分」

「話しておいて何だけど、オチも締りも無い話ですまないね(笑)」

 自嘲気味にモニタの向こうの美樹に伝えると、

『事実ってそんなもんでしょ。何でもかんでもオチがあるわけでもないし。』

 これと言って盛り上がりも何も無い話だったにも関わらず、美樹は興味深そうな表情を崩さず私の話に聞き入っていた。


『それで、その後ようこさんとは?』

 モニタの中の美樹が唐突に尋ねてきた。

「結局、お袋と引っ越す事を伝えに行って会ったのが最後だね。」

 これは記憶違いでも何でも無く本当にあれから"ようこ"には会っていない。

 "ようこ"が結婚した話だとかどうなったとかの話も一切聞かない所を見ると、母親同士の繋がりも自然と疎遠になり、完全に音沙汰無しになっているようだ。

『そうなんだ。折角の幼馴染なのに何だか勿体無いね。』

 何が勿体無いのか分からないけど、少なくとも今会ったところでこれと言った話題も無く、気乗りのしない同窓会に参加したような空気になるだけだろうから、寧ろ会わなくて正解のような気もする。


「じゃあ最後の1人の話だけど…眠たくなった?」

 残りの話をしようと画面を覗くと、美樹の目がとろんとなっているように見えた。

『ううん!眠そうに見えた?』

「うん。退屈な話だったから眠気が来たのかと思ったし。」

 美樹はWebカメラに向かって目尻に人差し指を当て、左右にびよーんと伸ばしながら、

『逆に何だか可愛らしい話だなぁと思って聞いてたから心が落ち着いたのかも。』

 と本当なのかどうなのかよく分からない返答をしてきた。

 語り掛けている相手が大丈夫だと言うので、そのまま話を続ける事にした。


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 最後に話す1人は、父が転職し、住む所も変わり、私も転校から随分この地に馴染んできた頃に近所に引っ越してきた同い年の女の子の話。

 小学3年生の頃だ。


 名前は「浩美(ひろみ)」。

 第一印象は大人しそうな子という感じ。

 身長は私と同じか少し高いくらい。

 どちらかと言えばスリムな感じ。

 髪は肩までの真っ黒なショートボブ。

 目は大きめで鼻筋が綺麗。

 肌は白く…と言っても不健康さは全く無く、下地から白いのだろう。

 口元は緊張の為かきゅっと真一文字に結ばれている。

 全体的に整った面立ちで、素直に「可愛い」と子供ながらに思っていた。


 ところが、早速この第一印象は崩れる事になる。

 学校が休みともなると、浩美は朝から私の家に来て遠慮の欠片も無しに私の部屋に乗り込んで来る。

「まぁくん!遊びに来たよ!」

 あの大人しそうに見えた第一印象は猫被りだったのか。

「遊びに来た」と言う割に、浩美はかなりのインドア派だった。

 確かに肌の白さから、あまり外で走り回るといった遊びはしていないのだろう。

 一度「外で遊ぼう」と誘ってみたが、「家の中の方が楽しい」とあっさり却下されてしまった。


 時にトランプをしたり、今では懐かしの某ボードゲームをしたり。

 一通り遊ぶと今度は家から漫画を持ってきて勧めてくれたり。

 それも読み尽くすと今度は「これ面白いから」と推理小説を持ってきて、部屋のベッドを背もたれに2人で並んで小説を読んでいたり。

 何をしているというわけでも無いのだが、私としては浩美と過ごしている時間が楽しかった。

 ただ、浩美の小説を読む速さと読解力の高さにはいつも感心していた。


 中学生になると浩美はその能力を如何なく発揮し始める。

 田舎の中学校なのでのんびりしていると思いきや、入学早々学年主任が挨拶で「全員を進学校に入学させる。その為に勉強の時間は一秒たりとも無駄には出来無い。」と、どこぞの進学予備校みたいな事を宣言し、各教科の担任も学年主任に洗脳されているかの如く、毎日夜寝られるのか?と思わんばかりの宿題を出してきた。

 にも関わらず、浩美は難なく宿題をこなし、毎月のようにある全教科テストでは常にトップ5には入っていた。


 そうなると私は浩美に対して劣等感を抱く事になり、少しずつ浩美との距離を置くようになっていった。

 しかし浩美はそんな事どこ吹く風で、学校が休みの日は「来たよ!」と明るい声と共に我が家へやってくる。

 小学生の頃と違うのは、私の部屋に来て遊ぶのではなく、大量に出された宿題をしに来るようになっていた事。

「自分の部屋でやったら?」

 そう言った事もあったが、浩美は「まぁくんの部屋の方が捗るから。」と冗談のような理由をつけて来る事を止めなかった。


 前述の学年主任の宣言を茶化すつもりは無いのだが、実はそこまで厳しい事をしなくても、私の通う中学校からは毎年9割以上の学生が進学校へ入るという、元々それなりにレベルの高い中学校だった事もあり、私も浩美も普通に進学校である高校へ入学する事になった。


 高校に入ると学生数は一気に増え、また抑々浩美との学力差もあって私と浩美は一度も同じクラスになる事は無かった。

 それでも時間がある時は浩美と話をするくらいはあったし、年頃の若者らしくお互いを異性として意識し、お互いの恋愛事情を探ろうとする駆け引きのような会話をした事もあった。


 この頃から、私は浩美に好意を持って居た事に気付く。

 浩美の恋バナを聞くたびに、胸の奥がきゅーっと締め付けられる感覚が襲い、もやもやした感情が頭を占めて行くようになっていた。

「それならさっさと告白すれば」と言うのは、幼馴染という関係を知らない人の言う無責任な発言だ。

 勿論、私が意気地なしというのを否定するつもりは無い。

 それでも浩美が幼馴染である事は単なる偶然であり、その関係が心地良いなら、敢えてその関係を壊す可能性のある「一歩前へ」という行動は取るべきでは無いと考えていた。


 高校2年になると、やがて浩美は学校が休みでも我が家へ遊びに来なくなった。

 噂で浩美に彼氏が出来た事を知った。

 私は泣く事は無かったにしろ、勝手にかなり落ち込んだ。

 こんな事になるなら幼馴染という関係を壊してでも告白しておけば良かった…と。

 そして1年程、すれ違いざまに挨拶を交わす程度の余所余所しい関係が続いた。

 これなら、告白して振られていても告白せず他の男に浩美をとられても同じじゃないかと、更にもう一段落ち込んだ。


 やがて高校3年になった頃、浩美が彼氏と別れたという話を聞いた。

「今度こそ」と息巻いた私だったが、1年程挨拶くらいしか声を交わしていないので、声を掛けるタイミングを掴み損ねていた。


 とある日曜日、1年以上振りに浩美が我が家へ「来たよ!」と遊びに来た。

 驚きと嬉しさの入り混じった顔は簡単に隠せるものではなく、浩美に「何て顏してんの(笑)」と笑われたものだ。

 勉強机に向かっていた私は、以前と同じようにベッドの横に腰を下ろし、隣に浩美に座るよう促した。

 浩美も「自分の定位置」と言わんばかりに躊躇無く座る。


「彼氏と別れたんだって?」

 遠回しに聞くのは苦手なので、そのまま確かめる為に言葉を投げてみた。

「うん。あれは無理だわ。」

 想像と違ってかなりあっけらかんと答える浩美。

 もう完全にふっ切れているのだろうか。

「ほら、私たち今年受験でしょ?一応A大狙ってるけど今のままじゃまだ安心出来無いから勉強に集中したい。このままの関係でもいいけど今までみたいに休みのたんびに遊びに行ったりするのは控えよう。って言ったのよ。そしたら何て言ったと思う?」

 そこまで一気に言うと浩美は私の顔を覗き込んで私の答えを待った。

「あ…え…何だろう…『大学のランク落とせ』かな?」

 浩美は驚いたように大きな目を更に大きく見開いて、

「正解!何で分かったの?まぁくんもやっぱり同じように思う?私がA大入るのに頑張るより、今のままで入れる大学にランク落としていっぱい遊びたいって思うの?」

 怒りとも呆れとも取れる声で一気にまくしたてる浩美を制する。

「まぁ落ち着いて。俺が浩美の彼氏だとして、俺がそんな事言うと思う?」

「思ってないけど…けどアイツが言ったことそのまんまさっきまぁくんが言ったのと同じだから、まぁくんだけじゃなく男ってみんなそう思ってるのかなと思って…。」


 現時点、浩美はA大に入る為に勉強をする時間を確保したいというのが一番なのだろう。

 受験生としては至極全うな考えだし、それを否定するような事を言う権利は誰にも無い。


「他の男は知らないけど、俺は浩美がA大入る為に勉強の時間が大事って言うならその姿勢を尊重するよ。それが普通じゃないかな?」

 浩美はどきっとするような笑顔を私に見せて口だけ動かして何かを言ったが、それが私の耳に届く事は無かった。


 そして約1年後、浩美は宣言通りA大に入学し地元を離れた。

 私はA大など足元にも及ばないような低レベルな大学に進学し、同様に地元を離れた。


 大学に入ってすぐ、篤史が事故で他界した。

 暫くは引き摺っていたものの、学校にアルバイトにと忙しく過ごしていく間に少しずつその傷は癒えていった。


 夏休みに入る頃、実家から「夏は帰って来るのか?」と電話があった。

 特に予定はしていなかったが、ふと浩美の誕生日が近い事を思い出し、帰りがけに浩美の所へ立ち寄ってから実家へ帰る事を思い付いた。


 その晩、少し胸を高鳴らせながら親伝手で聞いていた浩美の所へ電話をしてみた。

 2コールで電話が切り替わり「もしもし?」と聞きなれた幼馴染の声が届いた。

「浩美?突然ごめん。昌幸だけど…」

 と言うや否や、

『えぇ!?まぁくん!?久し振り!元気!?』

 とこちらの緊張も吹き飛ばす程の1トーン高い元気な声が返ってきた。

 地元を離れ、浩美に会わなくなってまだ数ヶ月だと言うのに、妙に懐かしく感じつつ、早速本題を伝える。

 浩美は「嬉しい!」と何度も言いながらスケジュール合わせを急いだ。

 スケジュールを合わせた私と浩美は、少しだけ近況報告をしてから短めの電話を切った。


 当日AM10:00。

 バイト先の先輩に譲って貰ったバイクに跨りゆっくり出発した。

 浩美との待ち合わせはAM11:30。

 待ち合わせ場所まではのんびり走っても1時間もあれば着く。


 予想通り待ち合わせの30分前に到着した私は、近くの公園入口付近にバイクを停め、公園内を散歩してみることにした。

 夏の日差しは遠慮なく地面を焼き、無防備な肌を焼いた。

 あまり歩き回って浩美と会う時に汗まみれでは格好が付かないと考え、来た道を待ち合わせ場所まで戻り、日陰を探して浩美を待つ事にした。


 公園の入口から待ち合わせ場所の方へ体を向けると、遠くからでも一目で分かる姿が目に飛び込んできた。

 横顔ではあるが、大きな目と通った鼻筋、白い肌、間違い無く浩美だ。


 あと10m程に近付いた時、私が声を掛けるより先に浩美がこちらに気付き、満面の笑顔で「まぁくん!」と名前を呼んでくれた。

「ちょっと散歩しようとしたら遅れたかな。」

「ううん!今来たところだから!」

 何とも付き合い始めのカップルが駅前で交わすような会話ではないか。


 浩美と付き合いたい。


 そんな思いが浩美との再会でどんどん膨らんでいった。

 高校生の時は「幼馴染」という関係を壊したく無くて告白を躊躇っている間に、浩美は他の男と付き合いだしてしまった。

 が、結局自分以外と浩美が付き合うなら、遅かれ早かれまた同じような状況になってしまう可能性はあるのだから、躊躇っている場合じゃない。


「浩美…あのn「まぁくん!誕生日覚えていてくれたんだね!」


 低くぼそぼそと話す私の声は浩美の明るい元気で嬉しそうな声に被せられて霧散してしまった。


「あ…うん勿論。そのお祝いの為に来たんだから。本当は先に何か買ってそれをプレゼントした方がいいんだろうけど。俺そういうセンス無いから(笑)」

「久し振りにまぁくんに会えただけでも嬉しいのに、誕生日まで覚えてくれてたなんて、これ以上嬉しい事なんか無いよ!プレゼントなんか何でもいいのに!」

 喜々として嬉しさを語り出す浩美。

 こういう時の浩美はトーンが落ち着くまで何を言っても聞いていない事を知っている。

 まぁまだ時間はある。


 浩美は男の私はまず入らないであろう婦人服専門店に私を連れ回した。

 よく耳にするようなブランド名の店から、聞いた事のない店まで。

 最終的に、白地に薄い水色の模様が入ったワンピースが気に入ったようで、少し申し訳無さそうな表情で「これがいい」と私の元へ持ってきた。

「じゃあもう少し店の中で待ってて。」

 と言ってワンピースを持ってレジへ向かう。

 値段は問題じゃない…とは言え高いな。

 チェックを済ませプレゼント用にラッピングして貰い、商品を受け取って店内の浩美を探す。

 浩美はアクセサリーコーナーでネックレスを物色していた。

「ネックレス欲しいの?」

 背後から声を掛けたが振り向きもせず、

「ううん、何でみんなこんなものに興味持つんだろうなぁって思ってただけ。」

 と答えた。

 確かに以前からこういった貴金属には全く興味を示さなかったし、今日もアクセサリーらしいものは身に付けていなかった。

 浩美の横に並んで顔を覗き込むと、真顔がすっと笑顔に変わったので、出来るだけさりげなく「誕生日おめでとう…って今日じゃないけどまぁいいか(笑)」と、つい今しがたチェックが終わってラッピングされたワンピースを浩美に渡した。

 先ほどの笑顔がさらにぱっと明るくなり「まぁくんありがとう!ホントに嬉しいよ!」と静かな店内に響くような声で喜びを表してくれた。

 私は浩美の唇に指を当てて周りを見渡す仕草をし、ここが静かな店内である事を浩美に伝えた。

 浩美はプレゼントを胸の前でぎゅっと抱くと、周りから自分の姿を消すようにしゃがみこんでしまった。

 いちいちこういう仕草が可愛い。


 店を出ると既に昼を回っており、太陽は真上に鎮座し、容赦なくその熱を地上に降り注いでいた。

 暑さと空腹を避けるべくランチタイムの提案をすると、浩美も全くの同意であり、すぐ近くのパスタ専門店へ熱気から逃げるように入店した。


 パスタで空腹を満たし、食後のコーヒーを飲みながら、会っていなかった間の話に花を咲かせていた。

 学校は楽しいこと、喫茶店でアルバイトをしていること、一人暮らしの楽しいことや寂しいこと、色々聞かせてくれた。


 楽しい時間はあっという間に過ぎ、そろそろ私も実家へ向けてバイクを走らせないといけない時間になった。


「ご馳走さま!」

「構わんよ。俺も浩美に会えて嬉しかったし。」

「ホント?私も凄く嬉しかったし楽しかった!」

「また会ってくれるかな?」

「勿論だよ!何その他人行儀な言い方(笑)次はまぁくんの誕生日とかどうかな?今度は私がまぁくんに何かプレゼントするよ!」


 浩美に会えてただでさえ嬉しく思っているのに、次の約束までしてくれるとは、こんな嬉しくていいのだろうか。

 綻ぶ顔を隠しても浩美には見抜かれるのだが、必死で情けない顔を出さないように、極めて冷静を装い続けた。


「あははははっ!!!まぁくん凄いニヤけてる!!!」


 即座に見抜かれた。

 恥ずかしさから逃れるように浩美に背を向け、浩美にこれ以上顔を見られないようにしながらゆっくり歩いていた。


「ここだよ。」


 何が?と思って浩美の方を見ると、浩美が道沿いに建つ、当時はまだ珍しかったオートロックのマンションを指差していた。


「ここ?」

「そう。ここ。」

「何が?」

「私の住んでる所。」


 いつの間にか、しかも無意識の内に、且つ全然知らない間に、「送るよ」とも言っていないにも関わらず、気が付けば浩美が住んでいるマンションの前に来ていた。


「まぁくん今日は本当にありがとうね!久し振りにまぁくんに会えて嬉しかったよ。」

「俺も浩美に会えて嬉しかった。」


 私は浩美の目をじっと見つめ、小さく息を吐いた。


「そr「また声が聞きたくなったら電話してもいい?」


 浩美は何かを察しているのか?

 それとも単なる偶然か?

 ことごとく私が告白しようとすると言葉を重ねてくる。

 が、これは「焦るな」という天の声かもしれない。


「勿論。俺も浩美の声が聞きたくなったら電話するよ。」

「うん!じゃあ私帰るね。これもありがとう!おじさんとおばさんにもよろしくね!」

「あぁ。またな。」


 浩美の姿がマンションの自動ドアの中に消えたのを確認して、私は来た道を戻っていった。

「またチャンスはあるさ。」

 自分を鼓舞するように、声に出して言いながら。


 その後、浩美とは何度か電話で他愛もない話をしていた。

 毎回何の話をしたのかすら覚えていない程度のくだらない世間話ではあったが、心癒される時間を幾度となく繰り返し、やがて大学を卒業する時まで続いた。




 何だかんだでお互い時間が合わず、私の誕生日にと言っていた次の機会とやらもお流れとなり、それから学生時代に浩美と会う事は無かった。

 そして私が次に浩美に会う事が出来たのは、大学を卒業し、2人とも地元で就職をして1年程経った頃…




「結婚して県外に行く事になったの。」




 と言う報告を、浩美が我が家にしに来た時である。




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『ぇ…ええぇぇぇ!!!???』


 モニタの向こうの美樹が目を真ん丸にして私の最後の一言の後に叫んでいた。


「俺の幼馴染の話は以上だ。」

『いやいやちょっと待ってよ!結局浩美さんはそれっきりって事?』

「そりゃそうだ。結婚して県外行っちゃったんだから会う機会なんか無いからね。」


 唖然とした表情の美樹を眺めながら、私は当然の事を話しだす。


「『もしこうしていたら』なんてのはやってないんだから誰にも分からないよ。」

『うん。』

「であれば、今こうしている状態が何の問題も無いのなら、過去の選択は間違っていなかったんだよ。」

『まぁくんは…それで…いいの?』


 温くなったアイスティーの残りを飲み干し、カメラに目線を移し、美樹の目を直に見ているような素振りで一呼吸置いて…


「駄目だとしても、動いている今から未来を変える事は出来無いからね。」

『でも…。』

「ごめんね。何か暗い話になっちゃったけど、俺の中では消化済みの事だから。」

『ならいいんだけど…。』

「それに…。」

『それに…?』

「今はこうやって美樹が話し相手になってくれてるから、その方が大事。」

『あ…あのねまぁくん…私まぁくんのk「おー!もうこんな時間!そろそろ寝なきゃ明日がしんどいよ!寝よう!」


 呆れたような顔を見せつつ、カメラに向かってにっこり笑う美樹は、『うん!寝よう!おやすみっ!』とだけ言ってログオフしていった。


 今夜も、独りの静かな夜が更けていく。

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5人の幼馴染 月之影心 @tsuki_kage_32

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