第101話『ヒロインキャラの活躍』
◇◇◇
「有り得ん!こんな事は有り得ないんだよぉおおおーーーーーーっ!!」
ジニスがまた大声を張り上げる、するとそれに応える様にドーベルマンモドキがこちらにダッシュしてきた。
正に風の如き早さである、しかし……。
「鈍いんですね、欠伸が出ますよ」
そう言ったユーリがドーベルマンモドキ達の群れに突撃し、手にした剣で次々に斬り伏せる。
「甘いわ!まだまだ我が僕はいるぞ!」
ジニスの言葉通りに更に新たな魔法陣が現れてその中からドーベルマンモドキが再召喚された。
ソイツらにユーリが囲まれる。
「…………甘いですね」
ドーベルマンモドキ達が一斉に飛び掛かった。
「
ユーリが言葉を発すると宙に無数の剣が現れる、それらはまるで意思があるかの様にドーベルマンモドキ達に突撃し、ヤツらを貫いた。
「ぐっ!?まっまだだ僕は幾らでも……」
ジニスに応える様に魔法陣がまた現れる、しかし今度はその魔法陣はドーベルマンモドキを召喚する事もなくあっさりと消滅した。
これにはジニスも混乱している。
「なっ!?何故だ!何が起こった!?私の盾共が現れないだと!?」
「我々の前で何度も同じ魔法をひけらかすのは愚かでしたね」
狼狽えるジニスにそう言ったのはリエリだ。
彼女が魔法によりジニス、或いはそのバックにいる何者かによる召喚魔法に干渉したのだ。
ファンタジー的な解説は省くが、リエリのお陰でもうジニスはこれ以上ドーベルマンモドキを呼べなくなった。
更にリエリもドーベルマンモドキの掃除に加わる。
「
リエリの頭上に黄色、赤色、緑色、青色の四つの大きな魔法陣が現れる。
あれはそれぞれが上級以上の攻撃魔法だ。
黄色の魔法陣から放たれた雷撃がドーベルマンモドキを一瞬で消し飛ばす。
赤色の魔法陣からの炎がドーベルマンモドキを呑み込んで行く。
緑色の魔法陣から生まれた爆風がドーベルマンモドキを切り刻んだ。
青色の魔法陣からは氷嵐が吹き荒れドーベルマンモドキを氷像に変えた。
リエリはユーリと違い近接より魔法による遠、中距離の戦闘を好むのか魔法を多用するスタイルだ。
ユーリは剣とか持って突撃する感じで、ゴーレムツインズでもその戦闘スタイルってかなり違いが出て来たよな。
ユーリも更にドーベルマンモドキ達を剣で斬って斬って斬りまくってる。
………何というか、これはとんでもないヒロインキャラの活躍だよな。
まぁ2人ともゴーレムだし、好感度とかは関係なく私と共に旅をしてるから勝手にヒロインキャラ扱いするのは失礼かもだけどな。
『自分達を生み出した主だから従っているだけですので、そう言うのはちょっと……』っとか真顔で言われたら普通に悲しくなる自信がある。
だから心の中だけでヒロインキャラ扱いするのだ、イオちゃんもな。
シアちゃんや獣人の女性はまだお互いを知る機会が少ないのでまだヒロインキャラ扱いはしない。
………もしかしたらこの一夏で、とは目論む私だフッフッフッ。
あっそんな下心に熱を入れているとそろそろ決着の予感。
リエリが残りのドーベルマンモドキを担当し、ユーリがジニス本人を攻撃していた。
「これで、終わりです」
ユーリの剣がジニスの片足の腱を切る。
「なっ!?ぎゃあああっ!こ、この私に剣を!?このイカレたメイド風情がぁっ!」
「イカレてる愚か者風情が、剣で斬りつけたくらいで少しうるさいですね」
「なっなんだとぉおーーーー!」
自分が愚か者風情とか言われたら本気でキレるんだよな、ならどうして他人にはそんな言葉を使えるのか私には理解出来ない。
ユーリの挑発に乗ったジニスは碌に動かない片足を庇いながら、片手をかざす。すると緑色の魔法陣が展開され。
「往生際が悪いですね、ストームブリンガー」
そこにイオちゃんの攻撃魔法が炸裂、残ったドーベルマンモドキを全て薙ぎ払い、そして風の刃がジニスのかざした腕を切り落とした。
当然ジニスはめちゃくちゃ痛そうな声をあげる。
「ぎゃああああーーーーーーっ!こっこのエルフふぜばぎゃッ!?」
ジニスがまだ何か言う前に、ユーリの回し蹴りが顔面に決まった。
数メートル以上ぶっ飛ばされてジニスは気絶する。
「あっ………がっ…………がくっ」
「おっ終わったんですか?」
スーツイケメン、それフラグ。
スーツイケメンの呟きの直ぐ後に赤色の魔法陣がまたまたバァンッて出て来やがった。
それはジニスを囲う様に現れた、そしてジニスの姿が忽然と消える。
……どうやらジニスの回収だけが目的だった様だ。
「ハロルドさん、これは……」
「はいっジニスの背後に少なくとも何かがいるのは確かな様ですね……」
さっき邪教とか言ってたけど、憶測で敵さんを断定しないのは賢いと私は思うよ。
それ以降はまたドーベルマンモドキとかが召喚されたりする事もなかった。
ジニスには逃げられたが、こちらの被害がない事を先ずは喜ぼう。それにどこにいても私の魔法なら……。
(ご主人様、申し訳ありません)
(ユーリ、何も問題はありませんよ)
私の魔法なら上手くコンボをかませばどこに逃げてもジニスを補足し倒すくらい容易だ、ここは…。
「アオノさん、そしてボスさん、本当に申し訳ありませんでした」
なんかスーツイケメンが頭を下げてきた。
「ホッホッホッ気にするな、若者よ」
「しかし恐らくジニスは……」
「それについてはワシも思う所はある、ここはお互いに協力してあの者を追う事が必要じゃろ?」
「………この後に及んで更に助力を乞うなど」
「な~に、困った時はお互い様じゃあ」
「……………ッ!」
スーツイケメンの肩をポンポンと叩くボスさん、なんか下手に私が事件を解決するのが悪手になってきたな。
「……………」
よしっここはスーツイケメンとボスさん一族に任せよう。
元からこちらは夏休み中である、そしてジニスの事はアルバトラスの商人達とボスさん達ドムル族の問題である。
彼らが自分達で事にあたると言うのなら外野がこれ以上目立つのは違うだろう。
回りを見れば獣人の女性もシアちゃんも2人の考えに同意する様に頷いている。
私は倒れてる部下スーツ2人に回復魔法をかけながらスーツイケメンとボスさんの会話を見守った。
その結果としてジニスはスーツイケメン達アルバトラスの商人が指名手配やら追っ手を用意して探し、ボスさん達は住んでいる森を中心に都市の外でジニスの潜伏しそうな場所を調べるらしい。
そして獣人達は奴隷の立場を解放し、望む者は故郷への帰還をスーツイケメンが全力で支援する事で話がついた。
何でもこのアルバトラスで働いて生活の糧を得たいと考える結構獣人もいるらしい、世話になったボスさんとその一族に恩返しをしたいらしくここで生活する術を自分達で得たいとのこと。
涙腺がヤバイ、ドムル族、獣人達に大分優しく接してあげてたんだな。
じゃなければ故郷に帰るのを後回しにしてまで恩を返そうなんて思わないよ。
故郷に帰る事を優先した獣人達も元の生活に戻れたら必ず恩返しに来ますって言ってた。
誠実なヤツってさ、格好いいよな。憧れるよ。
そして私達だがスーツイケメン曰く、本当にお世話になりました云々。
何やらとても凄い報酬を用意するからと少し報酬を渡すのを待って欲しいと言われた。
オイオイッそんな事を言われたら期待してしまうぞ?中年は……。
そんな風にほくそ笑んでいると………。
「オイッ」
「あっはい。なんでしょうかシアさん?」
シアちゃん登場、いつも通りのプリプリ怒る感じは変わらない彼女だ。
「ボスからお前達の護衛をと言われた、あのジニスとか言うバカがお前達を狙わないとも限らないとさっだからしばらく行動を共にするぞ」
「……………え?」
「なんだ?文句があるのか?」
ケンカ腰が常の彼女が?私はともかく他の夏休み中のメンバーの空気が悪くのかは素直に心配であります、しかし、しかし………。
「まさか、よろしくお願いしますシアさん」
「…………フンッ」
美女のパーティー加入を、この中年が断れる訳がないじゃないの。
それもこれもあの魅力的な褐色の揺れる巨乳が悪い。
って事でシアちゃんが新たに夏休みパーティーに加入したぞ、やったね。
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