第96話『裏で手を回そう』

そして私は仮眠を、リエリは普通に夜襲を警戒して寝ているふりをして朝を迎えた。


私のチート仕様なゴーレムである彼女は寝ると言う行動を必要としない。

日々の夜も私が使える様にした魔法の練習やら色々しているって言っていた。


こんな中年のサポートするにはあまりにも有能な美人秘書である(今はスーツ姿じゃないけどな)。


そんなリエリのストイックな仕事ぶりに、やはり彼女にも日頃の感謝を形にしてお礼をするべきだと考える私だ。


イオちゃんやユーリにもそう言った意味でのプレゼントをこの夏休み中に用意する所存、こんな案件は今日中に片付けてレッツサマーである。


そんな事を考えていると夜明けと同時にフードさんが不愉快そうに起こしに来た。

いつもより切れ気味な対応されたから、もしかしたら朝が弱いのかもな。


そして起きると村長と獣人の女性がいた。


栗色のロングヘアー、あまり手入れはされていないので所々にはねてる毛があるが、そんな事は気にならなくレベルで美人さんだ。


歳は二十代中頃で犬の様な耳と尻尾がある、スタイルも抜群だ。

これは………おっと流石にここで他の女性に鼻の下を伸ばすのはアウトだよな。


「初めまして、私は青野と言います。旅の冒険者です」


「この娘は名をララシュ、奴隷として連中に連れて来られた者の1人での、今回の話し合いにどうしてもついて行きたいと言って聞かなくてのぉ」


「らっララシュと言います!どうかよろしくお願いします!」


「なる程、分かりました。私は構いませんよ」


「……本当に大丈夫なんだろうな?言っておくがララシュにも怪我1つさせるなよ」


「もちろんそのつもりですとも」


………だから綺麗なお顔とお胸様にチラ見をするだけにしとこうっと。


昼までには時間がまだある、私は話し合いを行う場所についてどこどこにしましょうってやり取りをした。


その場所まではフードさんが転移魔法で案内するらしく、今回私とリエリのパーティーに一時的に加入する運びとなった。


こちらがよろしくお願いしますっと言うと一応よろしくって返事をしてくれた。


それから1度解散、私達はフードさんと別れて集落の入り口付近でフードさんを待つ事にした。

何でもアルバトラスに行くのならフードさんのままではアレだそうだ。


そして待つことしばらく、私の目の前にやたら美人の女性がまた現れた。


赤色の髪のセミロング、身長は私より多少高めでスタイルも素晴らしい完全な海外のモデルさん見たいな褐色美女である。


歳は恐らく二十代前半、キリッとした目つきが印象的な女性だ、それがフードさんを待つ私達の元に近付いて一言。


「魔法で人の姿になるのは久しぶりだったので少し手間取った、行くぞアオノ」


「………え?、もしかしてフードさんですか?」


「………………俺の名はシアだ。誰がフードだ貴様」


あっ内心での呼び方をしてしまった。めんごめんご。

そして俺っ娘のシアちゃんがパーティーに加入した、やったね。


ってな一悶着があったけど、取り敢えずアルバトラスに向かって出発した私達である。



移動は私の転移魔法であるので一瞬でした。


(ご主人様。もうユーリもイオも起きているかと、またのけ者にすると不貞腐れるかと思われますが、どうしますか?)


確かに、前回の迷宮都市ではそれをやり過ぎてイオちゃんを怒らせてしまったんだよな。


前回の失敗で学んだんだよ私は、それに今回は美女や美少女への好感度アップが目的じゃないので素直に事情を話せる私だ。


後ろめたさがないって素敵。


(そうですね、リエリはすみませんが2人に事情を話しておいてくれませんか?もしもこちらに来ると言うのなら連れてきて構いませんので)


(……了解しました)


リエリは転移して私達が止まるホテルに向かった。


「………オイッお前の従者が消えたぞ?」


「はいっ彼女は私のパーティーメンバーに今回の事を説明しに向かいました」


「はあ?お前はパーティーメンバーの断りも無しに動いていたのか?」


「何分事は急を要する話でしたから、だからあの様な時間にお邪魔した次第なんです」


「……フンッ確かにな、あんな深夜に話し合い等と正気かと俺も考えたぞ?」


「すっすみません」


「だがっあの緊張感のない顔を見たら何となく話をするくらいは構わないと言う気分になったのも事実だ、こちらの期待を裏切るなよ?」


そう言うとフードさん改めシアちゃんは歩きだした、なんか小バカにされてる筈のなのに期待を裏切るなとか言われて軽く私の頭はパニクってる。


取り敢えず私はジニスを話し合いの場に引っ張って来るために行動しよう。


場所は昨日スーツイケメン達と別れたあの屋敷に向かった、移動の際には別段トラブルもなく屋敷に到着した。


そしてスーツイケメンに用事がある事を伝えると、何と本人が直ぐに現れた。


「こんにちはハロルドさん、事態が進展したので話に来ました」


「こんにちはアオノさん、昨日の今日でですか?何とも仕事がお早いですね」


「はいっ案外話が通じまして……」


そして話したのは集落で聞いたあれやこれや、シアちゃんもいるので嘘偽りなく話させてもらった。


シアちゃんの事を話す時は露骨に警戒していたが、話が進むに連れて何とも言えない表情になっていったスーツイケメンである。


彼からしてみれば同僚が次から次に犯罪紛いな真似をしてる話を次から次に話されて、その被害者関係者に文句を言われてる立場と言った所か。


しかもその文句を言ってくるのがモンスターと一方的に敵視していた存在である。


流石のスーツイケメンも辛い部分があるだろう、しかしそこはイケメンであり真面目に仕事をしているスーツイケメンである。


「なる程、奴隷の購入まではともかく、その扱いといい、さらに子供までいたとなると明らかに正規の奴隷商から買ったとは思えませんね」


「やはり怪しいですか?」


「はいっ奴隷とはつまりこの世界では罪を犯した上で金を持っていない者が自らの罪を償う為に身体を使って働くと言う身分です、つまり罪を償えば普通に解放される事が前提の契約を結ぶのですが、それでは使い潰しではないですか。完全な犯罪です」


人の使い潰しは犯罪か、どっか島国の人を雇う連中に聞かせたい言葉である。


「それ故に子供の奴隷など、余程の罪を犯さなければ有り得ない何しろ罪を償いきれる程の体力があるとは思われないからです」


「では私がシアさんの集落で見た子供達は…」


「………恐らく、その話が事実ならジニスは人さらいから買った人間を奴隷として扱う奴隷商から購入していますね」


人さらい、やっぱりそんの真似をする人間ってどこの世界でもいるらしい。


「犯罪を犯した奴隷の中には気性の荒い者もいます、ジニスはそれを嫌がったのでしょうね。当然人さらいは犯罪、それから人を買う奴隷商も買った客も、この世界のあらゆる国ではバレたら打ち首が確実の重罪人となります」


「ジニスさんは何故、そんな者に手を出したのでしょうか?」


「それを調べるのは私ですよ、その話し合いには私も同行します。もちろんジニスも連れて来ますのでご安心を」


「来ますか?」


「連れて来ます」


スーツイケメンとしてはアルバトラスで働く全ての商人達の顔に泥を塗ったジニスに結構な憤怒を抱えている様だ。


その行動が下手をすればアルバトラス全体に被害を与えよつとしたんだから当然だけどな。同情はしないよ。


ヤツに心意看板をかました私には分かる、ヤツは他者をぞんざいに扱い過ぎた。

その報いってヤツをこれから受けて貰おう。


スーツイケメンも似たような心持ちなのだろう、話す事がなくなったら直ぐに何処かに向かうと言って消えた。


私とシアちゃんは彼がいた屋敷で少し待つ事になった。










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