第86話『オッサンの夏休み(2)』
場所は変わってアルバトラスの街。
白いレンガの建物と同じ様な石畳で作られた通路は広めの歩道と馬車が通る通路が分けて設計されており車道と歩道がある街のファンタジー仕様と言った感じである。
少し文明が進んだ街並みって感じ。
私とユーリは2人でアルバトラスの街を歩く、ユーリからデートのお誘い受けたのだ。
まぁユーリにそんなつもりはないだろうけど、それなりの期間を共にしてそんなイベントは皆無だったからして。
きっといつもの護衛的な考えからのお誘いであると中年は理解している。
それでも嬉しいよな、美人ってヤツは何をしても非モテの心に強い影響を持つものだ。
と言う事で、アルバトラスの二日目はユーリと2人で都市部の観光と相成った。
この海の近くに出来たファンタジー仕様の街っていいよね、ゲーマーの憧れにあんな綺麗な港町に1度は行って見たい~ってあると思うんだ。
観光スポットになる街ってのは管理が行き届いていてその全てが綺麗な状態で保たれている。
探すと何処かには必ず清掃活動をする業者の方がいるのだ。
彼らの日々の仕事によってこの美しい街並みがあるのだと思うと頭が下がる気持ちになる。
おかげで中年は美女と最高の異世界観光しております、ありがとう。
「ご主人様、今度は何処に向かいますか?」
ユーリは水着の上に白いシャツとホットパンツと言うラフスタイル、それでも揺れるお胸様が中年の視線を釘づける。
片手にはクレープとクリソツな食べ物、私も食べてる。
何でもこのアルバトラスでは名物的な物で何店舗も店があるのに、その殆どの店に行列が出来ていた程に盛況であった。
何とか列が少ない所を見つけてゲットした私達だ、味は正にクレープ!………魔法部屋の冷蔵庫なら普通にゲット出来たなっと思ったけどそんな言葉は口にしない。
ユーリと言う銀髪ツインテールの美人と共に並んで買うからこのクレープには価値あるんだよ。
「ユーリが行きたい所に行きましょう」
「………むぅっご主人様?こう言う時はご主人様も一緒に考える物なんですよ?私に丸投げは関心しません」
おやっユーリに怒られてしまった。
この子もリエリもゴーレムとして生まれたばかりの頃に比べると信じられないくらいに成長している、以前の彼女なら私に文句を言うなんて考えなれなかったからだ。
それは表情にも言える、いつもは相変わらず少し目つきが鋭いから怒ってる様に見えるのがスタンダードなユーリだけど。
今はアヒル口を強調してブーたれている。可愛いいんですけどこれ。
………って先ずは謝ろう。
「すみませんユーリ、ならっそうですね……この都市には立派な灯台があって日が出てるウチは観光スポットととして解放していましてね、あそこに……」
「むむっ!ご主人様!アレはこのアルバトラスでも1番に有名なコロシアムですよ!あそこに行って見ましょう!」
「…………」
話を振っといて……まっまぁ実に若い女性らしくなってきて中年は嬉しいよ。
走る彼女は普通に速いので後を追うのも大変だなっとか考えながら走る私だ。
コロシアム、まぁ古代ローマをモチーフにしたマンガとかを読んだ事がある人は直ぐにそのデザインのイメージが浮かぶだろう、まんまそれである。
違うのは戦うステージだ、円形のフィールドはともかくその回りを更に海水を引いてきたのか大量の水で囲まれている。
あそこに落としたら勝ちなんだってさ、フィールドの広さも結構ある、学校の体育館くらい?大体あれを丸くした感じの広さだ。
そしてそのコロシアムでは只今絶賛バトルが開催されていた。
両方ともマッスルな野郎である、武器も防具も本人の持ち込みでOK、但し殺しはNGらしいのでそこは助かった。
曰くこのコロシアムの闘士は超一流、武器を使っても相手を殺さない程度の技術がなければ務まらないのだそうだ。
ただまぁ武器アリって事なので流血関係は普通にあるんだとさ、そこは回復魔法を使える魔法使いを雇って対処するらしい、ファンタジーって本当に便利である。
「おぉ~~っ!話には聞いていましたが予想を上回る熱気ですねご主人様」
「確かに、これだけの人数の人々が声援を送るとここまでになるとは……驚きました」
鎧を着込んだ野郎同士の戦いでここまで熱狂出来るって凄い、私はマジで興味がないから戸惑ってしまうぞ。
一方のユーリは戦う連中を冷静に観察している、きっと今後の自身の戦闘スキルを磨くチャンスにしようとしてるのかも知れない。
金属がぶつかる音が何度も響く、こんな大きな舞台に出ているだけあって双方ともかなりの使い手の様だ。
魔法こそ使ってもいないがあれだけ防具をしっかり装備しながらまるでジャージか何かを着ている様に速い動き、そして時間もそれなりの間戦い続けている。
素早さと持久力は大したものである、ああっもちろんあんな重そうな武器をずっと振り回して事自体凄い事だ。
観客の声援をお互いに受けて全力で戦う、バックには回復魔法の使い手がちゃんといるので即死による事故以外では滅多に死人は出ないらしい。
………まぁそれでも怖いもんは怖いけどさ。
そして何よりユーリの事だ、最初の頃は私以外の人間に興味を全く示さなかったあのユーリが今では人々の娯楽にまで興味を示すなんて……目頭に熱い物が。
なんか子供の成長を見守るお父さん的な?そんな感じの気分である。
「ユーリ、何か飲みたい物はありませんか?私が買ってきます」
「え!?ご主人様。そう言うのはユーリが…」
「いいから、ユーリは次の試合を見ていて下さい」
見ると野郎同時の戦いは決着、直ぐに闘士は入れ替わり今度は女性闘士2人が現れた。
直ぐに試合が始まるだろう。ユーリがまだ何か言ってたけどそこは中年の意見を通した。
気分がとても良い私はユーリが飲みたい物と自分の飲みたい物を売店に買いに向かった。
そして売店に向かう途中、何やら私を呼び止める声が聞こえた。
「オイッオッサン!」
「…………え?」
見るとそこには昨日リエリとユーリに相手にされなかったイケメン2人がいた。
ただ昨日のユーリ達を相手にしていた時とは言葉遣いも態度もまるで別人である。
何やらカッカしてる雰囲気だ。
「貴方達は昨日の?私に何か要でしょうか?」
「何か要でしょうかじゃねぇんだよ!」
「昨日は良くも俺達をコケにしてくれたな!?絶対に許さねぇぞオッサン!」
コケにって……私は君達が振られた最後にちょっと登場しただけじゃんよ。
それを何がどうしてそんな怒る理由になるのだろうか、きっと女性にあそこまで相手にされなかった経験がなかったのかも知れない。
しかし女性に逆ギレする真似が出来ないので視界映った1番のモブキャラである中年に八つ当たりを?この場で1人、たまたま出会ってしまった不幸も重なってしまったのも理由かね?。
「なんでアンタ見たいな冴えないオッサンがあんな美人を引き連れてんだよ!絶対におかしいだろ!?」
「まさか金に物を言わせて高価な魅了の魔法薬にでも手を出してんじゃねぇだろうな?」
「全くだぜ、あの黒髪と銀髪の2人以外にも紫色の髪をしたエルフまで連れてるとか、どう考えてもおかしいんだよな!」
冴えないオッサンが美人と一緒にいるって理由だけで魅了の魔法薬の使用を疑う君達の思考回路がどう考えてもおかしいんだよな。
ちなみに魅了の魔法薬は飲ませた相手が最初に見た異性に好意を持たせると言う、
持ってるだけで捕まり、この世界では実刑判決待ったなしの危険なお薬だ。
無論私なら簡単に作れるけど、誰がそんな物に頼って虚しいハーレム築かなきゃならんのだ。
オッサンにだってプライドと良心があるんだかんな、ふざけんなよ。
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