第84話『オッサンの夏休み』
そこは……正に夏の楽園であった。
何処までも続く晴れやかな青い空。
青く清んだ海の波の音が聞こえる。
そして………へへっそしてねぇっ………。
アレだよアレアレ、夏の海と言えば?。
「う~~んリエリ、ユーリは泳ぐのが得意ではないかも知れません」
「ユーリ、なら浮き輪を使えば良いんですよ」
「綺麗な海ですね、それに冷たいです。ねっアオノさん」
私は『そうですね』っと話ながらそれでも視線はチラチラと美人3人組に向ける。
いやらしさをひた隠し、モロにガン見とかは避ける、しかし揺れる母性の象徴が私の視線を釘付けにしようと………くっ!幸せでありますな。
そうっ私達は無事にアルバトラスに入る事が出来た、入場料的なのは超高かった。しかしそれ故にアルバトラスの白い砂浜は人でごった返す様な事がなく、ゴミ1つ落ちてもいない。
そんな夏の奇跡の様な場所で……なんと私と共に旅をして来た美女達は当たり前の様に水着を装備してくれたのだ!。
それも胸の谷間もお尻もとても……エロくて良い感じのヤツをだ。
最高かよ、ありがとうございます。
本当にありがとうございます。異世界に来て良かった。
ユーリは白のフリルが付いた水着で何処となくメイド服に近しい感じの水着だ白い肌が映えるね、健康的でアグレッシブな彼女の肢体。エロい。
リエリは黒の水着でフリルとかは付いてない、しかし胸の谷間がとても魅力的だ、太ももや腰の括れをさらけ出せるスタイルの良さが、何というかエロいしかない。
そしてイオちゃんは濃い紫色の水着で布の面積がイオちゃんが選んだとは思えないくらい少ない、まぁハイレグとかではないけど、なんであろうと最高です。
何故なら巨乳のエルフが水着だ、エロいに決まっているじゃないか。
そんな美女が3人、キヤッキヤッと言いながら青い海に入って行く姿を眺める私だ。
端からみると完全に引率の先生か何かだよな、流石に三十路の中年野郎があの輪に入って行ける勇気はない。
無理に近付いて『え?キモ』って引かれたらこのひと夏の残りの1ヶ月近くの期間が地獄に変わるからな。
常に非モテのリスクマネージメントは大切なんだよ。
するとそんな私の元にイオちゃんが自らを近付いて来た。
「アオノさん?アオノさんは泳がないんですか?」
今の私はシャツに半ズボンと言う夏のおっさんスタイルだ。まさか自分が彼女達と泳げる可能性なんて考えられなくて……置きに行った。
ここは大人の余裕と冷静な判断が必要だと、あまりにも自分も自分もとズカズカいけば水着すら拝めなくなるからと。
しかしイオちゃんはこちらに向かって歩いて来る。
「一応下には用意をしていますが、私より皆さんが楽しんで下さい」
「フフッならアオノさんも海に入りましょう?皆で来たんですから、皆で楽しみませんか?」
そう言うとイオちゃんは少し水着で近付き過ぎた事に気がついたのか、少し手で隠すように恥じらったり、しかし落ち着いてる感じの笑みを浮かべる。
そしてなんと………中年野郎に手を差し出して来た。
「さっ行きますよ?アオノさん」
「………………」
ボッ!(私の身体から青いオーラが立ち上る!そして身につけたシャツとズボンは一瞬で消し飛んで海パン一丁に変身した!)。
本音を言えば元から準備万端だった私だ。
ああっもちろんシャツとズボンは単に魔法で今回部屋を借りているホテルの部屋に転移で送っただけですのであしからず。
ってそんな事はどうでもいいんだよ!。
イオちゃんから手を差し出してもらってるんだぞ!?これは夏の魔法なのか?。
今、中年に………青春が到来しております。
リアルの灰色だった青春よさようなら、こんにちはファンタジー世界の真なる青春よ。
私は少しぎこちない感じで片手を出す、まさか自ら手を握りにいける度胸もなくて。
しかし今回のイオちゃんはイケイケだった、当たり前の様に私の出した手を握ってしまう。
彼女の体温を感じる、異性と手を組んだ事なんてない非モテ童貞野郎はその時点で大人の余裕とか冷静なリスクマネージメントなんて思考はぶっ飛んでしまった。
「さあっ早く行きますよ!」
「はっはい……分かりました」
恋愛弱者は覚醒したイケイケ美女に連れられて海に入水を果たした。
海の透明度は言わずもがな。私が今まで生きてきた中でも見たことがないレベルの代物だ。
そして中年の絶対防御魔法、
身体や衣服に密着する近さで展開するこの魔法に、新たに海水の塩分(この世界の海からも普通に塩が取れてるので)が身体に影響しないようにした。
海から上がった時にベタベタしない為にである。
次に海中で目を開けても目が大変なことにならない様に、そして海中でも呼吸が出来る様にした。
この辺りの魔法はファンタジーな世界なら他にもありそうだったので魔法鎧にまとめて付与した。
最後に夏の紫外線カットと日差しの熱も弱める仕様にした。
リエリやユーリ。そしてイオちゃんにも今回私の魔法鎧を既に発動している(もちろん本人の許可ももらって)ので、要は彼女達のお肌を守る為の仕様である。
そしてそれらの効果の有無をこの中年が試そうと思う、って事で海に潜る私だ。
「…………………」
うおおおおっ!すげぇっ!すげぇよ!本人にハワイとかのパンフレットで見た写真見たいに、まるで宝石箱の中身をばら撒いたが如く、色とりどりの魚がわんさか泳いでおりますな!。
ふわぁああ~~赤い魚、青い魚、黄色い魚、それにピンクのクラゲとか、正に海の楽園って感じだ。
もう少し沖に行けば更にカラフルな魚達と珊瑚礁が見えるんだとか。
「……………本当に、美しい景色だ」
海の中でも言葉を発する事も出来る、そんな仕様も付け加えていた私だ。
すると私の隣にいたイオちゃんからも言葉を頂戴した。
イオちゃんもこの自然の美しさに心を奪わ。
「すごい………本当に海での呼吸が出来るし、目を開けていても痛くありません!この魔法はとても面白いですねアオノさん!」
…違った、私の魔法についての感想だった。
まぁそれも嬉しいのである、だからイオちゃんの話に答える。
「はいっこの魔法があれば海の中を庭を散歩する様に移動出来ます、イオさんの意識1つで海底を歩ける様にもなれる魔法ですよ」
「え?そんな事まで出来るんですか?」
「はいっもう少し深い所に行けば分かりやすいかもです。今日はここに来て初日ですしあまり沖に行くのは危険かも知れないので辞めておこうかと思いますが」
私の言葉にイオちゃんも同意する、やはり楽しい夏休みだ。少しずつ楽しんで行きたいって話だ。
まぁいずれ更なる海の世界を楽しむつもりだけど。
それから私とイオちゃんは海中の魚鑑賞を続けた、息継ぎが必要ないって本当に便利で凄い事だと実感した私だ。
水中で座禅とか組んだら仙人感増しそうだよな、或いは溺死したオッサンだと思われるか。
そんなアホな事を考えながらイオちゃんとの海中デートを楽しむ。
黄色と赤の斑点の魚とかいた、熱帯魚的なデザインすぎて『いいねっ』てしたくなったよ。
色とりどりのクラゲが列を組んで泳いでた。
信号機かよって思ったね。クラゲって社会人してた頃は本当に羨ましい生き物だと思っていた私だ、疲れてたんだよな。
海底の白い砂浜にも魚とかカニとか小さなエビとかいっぱいいた。そのどれもこれもがカラフルでとても夏のリゾート感あるわっとか考える私だ。
それらを一々発見してはイオちゃんと共有して『いいね』する的な感じであった、イオちゃんもちゃんと夏の海水浴を楽しんでくれて最高に幸せな中年である。
………………っあ。
ヤベッユーリとリエリをほって置いて2人で海を満喫してしまった。
私はイオちゃんと一緒に砂浜まで泳いで戻る。
するとリエリとユーリの側に2人の男がいた、1人は金髪の優男でイケメン。もう一人は茶髪のイケメンだ。
金髪と茶髪のイケメンにいい思い出がない私は嫌な顔をしてしまった。
それとなく近付くとリエリが私を認識、そして口を開いた。
「すみませんが連れの方が来たので失礼します」
「え?あちらの女性はともかくもう1人の男は…」
「貴方達にこれ以上付き合うつもりはありません」
「………そんな」
速攻でイケメンを袖にしたゴーレムツインズ、一体何があったのか聞きたいけど袖にされたイケメンが、主に私たち1人に鋭い視線を向けている。
アレは嫉妬とか何であんなのがって視線だ、無視すると実に面倒くさい事になるタイプの視線である。
まぁ無視するけどな。
折角の夏休み、得体の知れない連中とのエンカウントで無駄にするのはごめんだ。私は3人を連れてさっさと海を上がった。
イケメン達はずっと視線を向けてきてたわ、なんか嫌だな~~。
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